個人面談をお願いすることに

久保田さんへの心の垣根が一気に下がったのは、久保田さんが「株を買って企業を応援するのは大切なこと」としながらも、「株は短期的には上がったり下がったりするもの。背伸びをせず、万一損をしても『今回は仕方ないか』と思えるくらいの余裕資金で投資してくださいね」と釘を刺すのを忘れなかったからです。

聞けば、久保田さんが支店の営業担当だった時にリーマンショックが勃発し、担当していたお客さまのフォローに奔走した記憶が今でもくっきり頭に残っているのだとか。

「行く先々でお客さまの怒りを買い、ひたすら頭を下げ続ける毎日でした。中には生活資金に窮して夜逃げしたりするお客さまもいらして、私たちも本当に苦しかった」

会社の同僚だったご主人は心を病み、2年後に離婚。以降、久保田さんは当時就学前だったお嬢さんを女手一つで育ててきたそうです。そんな過去もあけすけに話してくれる久保田さんにはもう好感しかない感じで、それを機に久保田さんのオンライン勉強会に顔を出すようになりました。

そして年明け、久保田さんに初めて個別面談をお願いしました。諒太との別れで生じたトラウマを解消したい、そのためには信頼できる人に話を聞いてもらいたいと強く思ったからです。

「そうだったの。瀬戸さんは金融リテラシーが高いのに投資には消極的な様子だったから、どうしてだろうと思ってた」

面談の当日、私の長い打ち明け話を聞いた久保田さんは納得したようにうなずくと、こんな話をしてくれました。