方法②:「企業型DC」で退職金を増やす

控除額を増やす方法によって、確かに退職金の手取り額は増えそうですが、それは受け取り時の最終手段でしょう。純粋に「退職金を増やす方法」とは言えないかもしれません。では、一般社員(役職のない、いわゆる平社員)が退職金を増やす方法は存在しないのか、というと、そうでもありません。

会社の退職金制度が、確定拠出年金タイプ(企業型DC)の場合は、一般社員でも退職金が増やせる可能性があります。企業型DCは、会社が掛金を拠出し、従業員自らが金融商品を運用するため、会社での能力や仕事の実績と関係なく、運用次第で受取額が増やせる人もいるのです。

企業年金連合会が2023年3月に公表した「確定拠出年金実態調査結果(概要版)」によれば、企業型DCの平均運用利回りは、2021年度(2021年4月~2022年3月まで)の期間は3.5%、制度導入からの平均運用利回り(年率)は3.8%となっています。

また、運用利回りの分布を見てみると、2021年度の運用利回りが15%超となっている人が1.2%おり、制度導入からの運用利回り(年率)が16%超となっている人が0.6%いて、運用によって退職金を増やせている人もいると分かります。

企業型DCは、平均の想定利回りを1.91%としています。これは、企業型DCの給付額と、制度導入前の会社が給付する退職金と同額になるために達成しなければならない運用利回りです。この利回りを上回れば「自分で運用してよかった! 退職金が増えた!」ということになります。

現在のところ、平均運用利回りで見れば、多くの人が、自分で運用した結果、本来もらえる退職金より金額が増えていると言えるでしょう。しかし、運用利回りが1.91%を下回ってしまうと、自分で退職金を減らしてしまったことになります。