方法①:退職金の「手取り額」を増やす

私は、定年や退職金を扱ったムック本の制作でたびたび社会保険労務士や税理士、FPのみなさんにお会いし、いろいろなお知恵を拝借しています。そして、受け取る退職金を最大化する方法として多くの専門家が提案するのが、退職金をもらうときの「控除」を増やして「手取り額」を増やすというものです。

これはもう、定年までの間に自分の努力では退職金増額は「いかんともしがたい」という人も、やればできる方法と言えるかもしれません。

まず、退職金は一括で受け取ると「退職所得控除」という、大きな税優遇が受けられます。ご存じの方も多いかと思いますが、退職所得控除の金額は、勤続年数により異なります。勤続年数が20年以下の部分は1年につき40万円、20年を超えた部分は1年につき70万円が控除されます。控除が多くなれば、退職金から納める所得税が減り、手取り額が増えるというわけです。

勤続20年と勤続21年では控除に70万円も差が出るわけですが、ここで注目すべきは、勤続年数の数え方です。勤続年数は切り上げ計算であるため、会社に20年勤めた人は勤続20年ですが、20年と1日勤めた人は勤続21年になるのです。

その結果、後者の人は、たった1日多く勤めただけなのに退職所得控除が70万円も増えます。つまり、退職日を1日ずらすことができれば、控除が増えて手取り額を増やせる可能性があるというわけです。