従業員がマッチング拠出している金額は?

企業年金連合会のホームページに掲載されている「確定拠出年金統計資料(2023年3月末)」によると、企業型DCの掛金は、従業員ひとりあたり平均17万円(年額)となっています。この金額には事業主掛金だけでなくマッチング拠出の掛金も含まれています。

では、従業員自らがマッチング拠出している金額はいくらぐらいなのでしょうか。

前出の「確定拠出年金実態調査結果(概要版)」によると、拠出限度額が5万5000円の会社で月額平均8692円、2万7500円の会社は月額平均6040円という結果でした。

どうでしょうか? 私は「意外と少ないな」と感じました。

マッチング拠出は、企業型DCを実施している企業の55.2%が導入していますが、従業員のマッチング拠出利用率は平均34.3%とのことです。今のところ制度があっても積極的に利用している人は少ない印象です。

企業型DCとの併用に迷ったら……

同じ確定拠出年金で個人型は「iDeCo」と呼ばれていますが、マッチング拠出がある会社にお勤めの方は、マッチング拠出とiDeCoの併用はできません。そのため、マッチング拠出ではなくiDeCoを選択しているという人もいるでしょう。

企業型DCで運用できる金融商品は会社が選んだものに限られるため、自由に商品を選んで運用したいという人はiDeCoを選ぶのもいいかもしれません。また、会社の退職金制度が企業型DCのみの人は、iDeCoを月額2万円まで積み立てられます。企業型DCの事業主掛金を超えられないという制約があるマッチング拠出よりiDeCoの方が多く積み立てられる場合もあります。

ただし、iDeCoの場合は、口座管理料が自己負担で企業型DCと別々に運用を管理しなければならず、所得控除を受けるには年末調整も必要です。その点、マッチング拠出は手数料負担がなく、運用の管理や手続きも楽というのがメリットです。会社にマッチング拠出が導入されているならば、まずは、上乗せ拠出で退職金を増やすという方法を検討してみてはいかがでしょうか。

参考
・企業年金連合会「ポイント制」

・国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
・企業年金連合会「確定拠出年金実態調査」
・一般社団法人投資信託協会「企業型DC(企業型確定拠出年金)ってなあに?-制度の概要-」
・企業年金連合会「企業年金に関する基本統計」
・企業年金連合会「確定拠出年金統計資料(2023年3月末)」
・iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等」