口座開設率から探る「NISA熱」が高い層とは
年齢や地域によってNISA熱にどのくらい差があるのか。今回注目したのは「NISA口座の利用状況調査」にある都道府県別のNISA口座数(金融庁、2025年11月公表)。しかし口座数自体では東京都や大阪府などの大都市、あるいは団塊ジュニア世代である50代など、人口が多い層が上位に来ることになる。そこで総務省が公表している都道府県別・年齢別の総人口(2024年10月時点)を使い、人口当たりの開設率を算出。年代ごとに各都道府県の開設率でランキング化した。開設率が高い層ほどNISA熱も高い可能性があるというわけだ。
首都圏強しも、年代によって意外な県がトップスリーに
この結果から、年代別、地域別の特徴を見ていこう。
20代NISA口座開設率 上位5県および下位5県
1位 福井県 27.4%
1位 東京都 27.4%
1位 神奈川県 27.4%
4位 兵庫県 27.1%
5位 富山県 26.2%
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43位 宮城県 19.6%
44位 沖縄県 19.2%
45位 岩手県 19.0%
46位 北海道 18.3%
47位 青森県 17.7%
出所:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査(都道府県別のNISA口座開設状況/2025年6月末時点)」、人口推計(総務省発表、2024年10月時点)よりFinasee編集部作成
年代ごとで見た47都道府県「口座開設率」ランキング。まず20代だが、開設率1位は3県が27.4%で並んだ。1つは東京都で、もう1つは隣の神奈川県。やはり同じ若年層でも都市部と地方では取り組みに温度差があるのだろうか。しかし最後の1つは福井県。唐突感があるが、実は福井県だけではなく同じ北陸地方の富山県も26.2%で5位に入るなど、開設率が比較的高い地域だ。
逆に低い地域はどこだろうか。47位は青森県(17.7%)。46位は北海道(18.3%)、45位は岩手県(19.0%)など北国が並ぶ。1位と47位の差は9.7ポイントで、全年代で最少。比較的地域差は少ない年代といえる。
続いて30代を見てみる。
30代NISA口座開設率 上位5県および下位5県
1位 東京都 44.0%
2位 神奈川県 39.9%
3位 兵庫県 38.4%
4位 大阪府 37.0%
5位 奈良県 36.6%
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43位 秋田県 27.1%
44位 北海道 26.7%
45位 福島県 25.5%
46位 岩手県 24.8%
47位 青森県 23.9%
出所:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査(都道府県別のNISA口座開設状況/2025年6月末時点)」、人口推計(総務省発表、2024年10月時点)よりFinasee編集部作成
開設率1位は東京都で44.0%。全ての年代・地域で最高水準であり、半数近い人が既にNISA口座を開設している計算だ。2位は神奈川県で39.9%だった。都心に勤務している「神奈川都民」が多いとも言われる神奈川県。東京都と似た結果となっている背景には、勤務先でNISAが話題になっているといった可能性もありそうだ。
開設率3位には兵庫県(38.4%)が登場。関西圏の都心である大阪府(37.0%)より順位は上であり、首都圏とは事情が違うのだろうか。開設率が低い地域では引き続き青森県(23.9%)が47位。1位との差は20.1ポイントに及び、地域差は全年代で最大だった。
40代はどうだろうか。
40代NISA口座開設率 上位5県および下位5県
1位 東京都 39.8%
2位 神奈川県 35.3%
3位 兵庫県 33.4%
4位 大阪府 32.9%
5位 奈良県 32.6%
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43位 北海道 23.8%
44位 秋田県 22.7%
45位 福島県 21.9%
46位 岩手県 20.9%
47位 青森県 20.8%
出所:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査(都道府県別のNISA口座開設状況/2025年6月末時点)」、人口推計(総務省発表、2024年10月時点)よりFinasee編集部作成
40代は30代と上位5位までは全く同じだが、水準はそれぞれ4~5ポイント低下。また1位と47位の差は19.0ポイントに及ぶなど、地域差が大きいところも似ている。
前編:【NISA県民ランキング47都道府県】NISA口座開設率が高い県・低い県は?「都市部」と「それ以外」で違いはある?
