NISAの裏に貯蓄あり
60代のNISA熱に県民性は見られるのか。ヒントになるのは金融庁が2025年11月に公表した「NISA口座の利用状況調査」にある都道府県別・年齢別の口座開設状況。総務省が公表している都道府県別・年齢別の総人口(2024年10月時点)も併せて使うことで、人口当たりの開設率を算出できるからだ。開設率が高い地域ほどNISA熱も高い可能性があるというわけだが、60代ではどの地域が高いのだろうか。
【60代】NISA口座開設率ランキング(47都道府県)1位~20位
1位 奈良県 32.1%
2位 東京都 31.9%
3位 神奈川県 31.6%
4位 兵庫県 29.6%
5位 滋賀県 29.5%
6位 三重県 29.1%
7位 徳島県 28.8%
8位 富山県 28.3%
9位 香川県 28.0%
10位 大阪府 27.8%
10位 千葉県 27.8%
12位 福井県 27.2%
13位 福岡県 27.0%
14位 栃木県 26.6%
15位 京都府 26.5%
16位 鳥取県 26.3%
17位 埼玉県 26.2%
18位 愛知県 25.9%
18位 岡山県 25.9%
20位 石川県 24.7%
20位 山口県 24.7%
※一部の金融機関では基準日時点での都道府県別の口座数を集計できなかった等の要因により、金融庁「NISA口座の利用状況(NISA口座数)」(2025年6月末)と一致しない。
出所:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査(都道府県別のNISA口座開設状況/2025年6月末時点)」、人口推計(総務省発表、2024年10月時点)よりFinasee編集部作成
NISA口座開設率による60代の県民ランキング。1位を獲得したのは奈良県(32.1%)。2位は東京都(31.9%)。3位は同じ首都圏から神奈川県(31.6%)がランクインした。首都圏や関西圏の大都市を抑えて奈良県が1位という快挙。同じ奈良県でも60代より下の年代では50代の3位が最高順位となっており、高齢層での開設率の高さが顕著だ。いったいどのような特徴がある県なのか。
総務省が公表している2024年の家計調査(貯蓄・負債編、二人以上世帯)によれば、全国の県庁所在地および政令指定都市(全52都市)のうち、奈良市の平均年収は639万円、平均貯蓄額は2923万円。ここから年収に対する貯蓄額の割合を計算したところ4.6倍と東京都区部(3.5倍)や横浜市(3.4倍)を上回り、全国で最も高かった。NISA以前に貯蓄にも熱心な県だった可能性があるのだ。
このように年収に対する貯蓄額の割合で見た場合、関西圏では奈良県と似た地域が実は他にもあり、4位の兵庫県(29.6%)では神戸市の貯蓄が年収の3.7倍と全国で3番目、5位の滋賀県(29.5%)では大津市が4.3倍と全国で2番目の高さだった。まず、貯蓄率が高いということが、NISA開設率の高さの背景にあるようだ。
奈良県には江戸時代に「大和の金は今井に七分」と称された橿原市(今井町)のような商業都市がある。また貿易の町である神戸市、近江商人で有名な滋賀県など、お金をやりくりして投資に回す商人気質のような県民性があるのかもしれない。
