シニアの都道府県別順位はどうなる?

50代では上位に変化が見られた。

50代NISA口座開設率 上位5県および下位5県
1位 東京都 34.1%
2位 神奈川県 31.5%
3位 奈良県 31.1%
4位 兵庫県 30.7%
5位 徳島県 30.6%
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43位 秋田県 22.0%
44位 福島県 20.7%
45位 北海道 20.6%
46位 岩手県 19.5%
47位 青森県 18.7%

出所:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査(都道府県別のNISA口座開設状況/2025年6月末時点)」、人口推計(総務省発表、2024年10月時点)よりFinasee編集部作成

東京都(34.1%)、神奈川県(31.5%)の首都圏ツートップは変わらないが、3位には奈良県(31.1%)が登場。60代以上の結果は以下の通りだ。

60代NISA口座開設率 上位5県および下位5県

1位 奈良県 32.1%
2位 東京都 31.9%
3位 神奈川県 31.6%
4位 兵庫県 29.6%
5位 滋賀県 29.5%
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43位 鹿児島県 17.7%
44位 岩手県 17.0%
45位 北海道 16.7%
46位 沖縄県 16.5%
47位 青森県 16.3%

70代NISA口座開設率 上位5県および下位5県

1位 奈良県 25.5%
2位 東京都 22.3%
2位 神奈川県 22.3%
4位 三重県 22.1%
5位 滋賀県 21.8%
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43位 鹿児島県 11.5%
44位 沖縄県 11.0%
45位 岩手県 10.8%
46位 北海道 9.8%
47位 青森県 9.3%

80代以上NISA口座開設率 上位5県および下位5県

1位 奈良県 18.1%
2位 東京都 16.8%
3位 神奈川県 16.7%
4位 兵庫県 15.3%
5位 千葉県 15.1%
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43位 北海道 5.4%
44位 秋田県 5.2%
45位 岩手県 4.4%
46位 沖縄県 4.2%
47位 青森県 3.6%

出所:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査(都道府県別のNISA口座開設状況/2025年6月末時点)」、人口推計(総務省発表、2024年10月時点)よりFinasee編集部作成

奈良県は60代(32.1%)でトップに躍り出た後、70代(25.5%)や80代以上(18.1%)でも1位をキープしている。なぜ同県のNISA開設率が高いのだろうか。

可能性の1つとして奈良県の貯蓄額の多さがある。総務省が2025年5月に公表した家計調査(貯蓄・負債編)によれば、2024年における奈良市(二人以上世帯)の貯蓄額は2923万円。全国の県庁所在地や政令指定都市の中では東京都区部の3019万円に次いで2番目に高い水準だ。NISA以前に貯蓄にも熱心な県で、それが理由で「貯蓄から投資へ」の流れがスムーズに進んだ結果なのかもしれない。貯蓄額の上位には首都圏や関西圏の100万都市が軒を連ねる中、奈良市の人口は約35万人(2025年1月時点)にとどまる。世界遺産など長い歴史を持つ地域なだけに、文化的な要素もあるのだろうか。

開設率が低い地域は全年代を通して東北地方や北海道など北国が多い。しかし60代では46位に南国の沖縄県(16.5%)が登場。同県は70代(11.0%)で44位、80代(4.2%)で46位など、高齢層で開設率の低さが目立つ。先ほどの家計調査(貯蓄・負債編)で見ると那覇市の貯蓄額は1200万円で全国46位と青森県(999万円)に次いで低い水準。奈良県とは逆の意味で貯蓄額がNISA熱に影響している可能性もありそうだ。

貯蓄という土台作りから始めてみては?

年代ごとの47都道府県の開設率ランキングからは、NISA熱が垣間見られる。全年代を通じて開設率が高かったのは東京都と神奈川県の首都圏ペア。特に東京都の30代はNISA開設率44.0%と全年代・地域で最高水準に達した。

一方で20代では福井県、60代以降は奈良県が1位になるなど、大都市でない地域も健闘。特に奈良市は、貯蓄額でも東京都区部に次ぐ2位と大健闘の一方で、全国の県庁所在地および政令指定都市を対象とした総務省の調査結果によると年間収入は25位にとどまっていることから、平均的な収入でもうまくやりくりして貯蓄や投資に励んでいる可能性は高い。NISAや投資に踏み切れない人はまず貯蓄という土台作りから始めてみるのも一案かもしれない。

調査概要 調査名:「NISA口座の利用状況に関する調査(都道府県別のNISA口座開設状況/2025年6月末時点)」 調査主体:金融庁 公表:2025年11月