<前編のあらすじ>

涼子(40歳)は派遣社員としてメーカーで一般事務をしている。東京の有名私大を出て、アイルランドに留学した経験もあり、準大手の商社でも働いた経験もある涼子は、「独身の派遣社員」という自分の現状に満足していなかった。

そんな時、過去に実名で登録していたSNSに、アイルランドで同じ大学に通っていたという男性からからダイレクトメッセージが届いた。

●前編:SNSから国際恋愛へ発展 40歳独身女性がハマった「あざと過ぎる」手口

SNSでの出会いから「国際恋愛」へ

最近の涼子の日課は、イアンとDMでやりとりをすることだった。

「今日も仕事行ってくるね」

「無理をしないでね。ハニー」

こんなやりとりを毎日するようになっていた。イアンの方からDMを送ってくれることもあり、アイルランドで何がはやっているのかなどを涼子に教えてくれた。

初めてイアンとやりとりをした日からもう3カ月たったが、彼の存在は涼子の中で非常に大きなものになっていた。

最初は単なる暇つぶしの相手に過ぎなかった。しかし、初めてやりとりをした数日後にイアンから送られてきたDMが涼子の心に火をつけた。

「あなたがアイルランドにいたなら、毎日会えるのに。2人の距離が離れているのがすごく悲しいです」

こんな言葉をかけられるなんて、数年ぶりだった。昔は職場で男性社員に好意を寄せられていると感じたこともあったけど、35歳を超えたあたりから、そういうこともめっきり減ってしまった。今、仕事に関すること以外で自分に声をかけてくれるのは、見た目が貧相なあの上司だけだ。だからこそ、イアンの言葉が涼子を熱くした。

イアンはアイルランドでシステムエンジニアの仕事をしているのだが、独身で彼女もいないし、仕事柄あまり人と話す機会がなく、涼子とDMでやりとりをするのが救いになっているという。そして、近いうちに会社を辞め、日本でシステム開発の会社を作りたいらしい。イアンいわく「日本は英語のできるエンジニアが圧倒的に不足しているから、英語と日本語が使える自分が会社を作れば、きっとたくさんの注文をもらえる」ということだった。