退職金が企業型確定拠出年金(DC)で準備されている場合
次に、企業型DCはどうかというと、本人が亡くなった後で遺族が受け取れるのは「死亡一時金」です。こちらは、年金で受け取ることはできません。
死亡一時金を受け取ることのできる遺族の範囲は次の通りです。
1.指定受取人(本人が生前に事実婚を含む配偶者、子、父母、孫、祖父祖母又は兄弟姉妹のうちから指定していた場合)
2.配偶者
3.本人が死亡当時に生計を維持していた子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
4.本人が死亡当時に生計を維持していた親族
5.子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で3に該当しないもの
受け取り順位は、上記に挙げた順番となります。同順位に2人以上いるときは、その人数によって等分支給されます。
死亡一時金を受け取る人は、死亡後5年以内に請求しないと、受け取る遺族がいないものとみなされ、死亡した人の相続財産とされます。
では、死亡一時金にかかる税金はどうなるのでしょうか?
死亡一時金の請求は5年以内ですが、「みなし相続財産」の非課税枠が適用されるのは、死亡後3年以内に支給が確定したものに限られます。3年過ぎて請求すると500万円×法定相続人の数の非課税枠が適用されなくなるので注意が必要です。3年経過後に請求すると、一時所得扱いとなり、控除額は50万円になってしまいます。また、控除後に残った金額の2分の1に相当する金額が、給与などの所得と合計して所得税の課税対象となります。
さらに、請求せずに5年経過すると、相続財産に組み込まれてしまうので、もう「みなし」でもなく「一時所得」でもありません。故人が遺した他の預貯金や不動産などと合算されて、相続税の基礎控除以上の財産がある場合は、相続税がかかるというしくみです。
大変ややこしいですが、企業型DCの死亡一時金は、3年以内に受け取ったほうが、税金がかからない可能性が高そうです。