退職金が確定給付企業年金(DB)で準備されている場合

では、会社の退職金が、確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(DC)といった、企業年金で準備されていた場合はどうなるのでしょうか?

まず、DBの場合は、規約の定めがあれば、遺族に年金または一時金として遺族給付金が支給されます。

DBの遺族給付金は、受け取ることができる遺族の範囲が次のように決められています。

1.配偶者(事実婚を含む)
2.子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
3.1、2以外で給付対象者が死亡当時生計を維持していたその他の親族

受け取り順位については、規約の定めに従います。

DBを遺族給付として受け取る場合、一時金でも年金でも所得税はかかりません。ただし、死亡退職金同様、相続税の課税対象になります。

DBの相続税は、DB加入者が亡くなったタイミングによって相続税の課税関係が異なります。本人が在職中に亡くなった場合の遺族一時金、遺族年金は「みなし相続財産」の非課税枠の対象となり、500万円×法定相続人の数まで税金はかかりません。

一方、DBを年金として受給中に亡くなった場合は、みなし相続財産の非課税枠が使えません。残りの年金額が相続税法上の定期金の評価に基づいて「有期定期金」「無期定期金」「終身定期金」の種類ごとに評価され、相続税の課税対象になります。

ちなみに、同じ年金でも厚生年金や国民年金から給付される遺族年金は、原則として所得税も相続税も課税されませんのでご安心ください。