家計簿なしの「ずぼら家計」も支出増の原因に
道子さんは家計簿をつけておらず、通帳記入も数カ月に1回程度です。支出確認のためにカードの明細書を出してみて、毎月20万円近くもカードを切っていることに驚きを隠せません。
ここまでお金の管理に無頓着でもこれまで貯蓄ができていたのは、大きな支出が食費だけだったから。収入と支出の差額が積み重なって、いつのまにか貯蓄ができていたのが実際のところでした。
おひとりさまの老後準備。月々貯めるべき金額は……
道子さんは53歳。美活にかける金額を考える前に、65歳の定年までの12年間でいかに貯蓄を増やすかが優先課題です。
まずは、生活費をおいておく口座と貯蓄をする口座を分け、お金の管理を仕組み化する。次に、自由に使えるお金(手取り収入から貯蓄と固定費を引いた金額)がいくらあるかを把握する。そのなかで、美活にかける費用はいくらまでならOKなのかを決めていきます。
では、老後を見据えて、これから定年までにいくらお金を貯めていけばよいのでしょうか。
今後の収支をシミュレーションしつつ計算したところ、2000万円程度貯蓄できれば、なんとか老後生活を送れそうという結果になりました。退職金が500万円でるとのことなので、定年までの12年で1500万円貯める必要があります。
1年で換算すると約125万円。ボーナスの60万円をすべて貯蓄できれば、残りの65万円を12カ月で割った、約5万5000円がひと月に貯めたい金額となります。ただ、道子さんは独身のおひとりさま。老後に介護を担ってくれる家族はいません。将来誰かに頼ることを見越して、毎月の貯蓄額を7万円に設定しました。
ちょっと厳しい金額ですが、筆者は普段から手取りの2割程度を貯蓄にまわすことをお勧めしています。定年までの時期にどれだけ貯蓄を頑張れるかで、老後の生活が変わってくるからです。
固定費は、家賃・水道光熱費・通信費・衣服費・新聞図書費の合計15万3000円です。道子さんのお仕事は営業職。「仕事に必要な衣服費と情報を得るための新聞や書籍代は、ケチりたくない」との意向で、固定費に加えました。
そうすると、自由に使えるお金は、手取り収入の33万円から、貯蓄の7万円と固定費の15万3000円を差し引いた10万7000円。現在食費だけで9万円かかっているので、美活に使えるお金はほとんどありません。それでは困るということで、食費の見直しに取り組むことになりました。