日常生活のなかで国債と直接関わることはあまりないかもしれません。しかし実際、国債は金融市場全体を支えるインフラ。日本経済を理解するのに国債の知識は欠かせません。

話題の書籍『知っているようで知らない国債のしくみ』では、知っているようで知らない国債に関する仕組みや役割について、金融アナリストの久保田博幸氏が解説。今回は本書序章「国債の3つの役割」、第1章「国債の種類」の一部を特別に公開します。(全4回)

●第1回:借金証書だけではない…有価証券、長期金利etc. 国債の持つ“多様な役割”

※本稿は、久保田博幸著『知っているようで知らない国債のしくみ』(池田書店)の一部を再編集したものです。

国債の種類と発行根拠法

国債を発行するにあたり、憲法や財政法ではどう位置づけられているのでしょうか。国債を発行するためにはいろいろな決まり事が存在します。

国債は、国の財政に組み込まれた制度です。国債を発行するために、発行根拠法と呼ばれる法律が存在しており、それによって国債の種類が分けられます。

公債と民間債

国債は債券の一種ですが、債券は公債と民間債に分けられます。公債とは、国や地方公共団体が財政収入の不足を補うために「債券の発行」または「証書借り入れ」によって負う債務のこと。国の発行する公債が本書で取り扱う国債です。他にも、地方自治体の発行する公債を地方債と呼びます。公債は、それ以外の借入金などとは区別されます。

公的機関ではない民間企業などが発行する債券は民間債と呼ばれ、株式会社が発行する社債や、特定の銀行・特定の金庫が発行する金融債などがあります。