日常生活のなかで国債と直接関わることはあまりないかもしれません。しかし実際、国債は金融市場全体を支えるインフラ。日本経済を理解するのに国債の知識は欠かせません。

話題の書籍『知っているようで知らない国債のしくみ』では、知っているようで知らない国債に関する仕組みや役割について、金融アナリストの久保田博幸氏が解説。今回は本書序章「国債の3つの役割」、第1章「国債の種類」の一部を特別に公開します。(全4回)

※本稿は、久保田博幸著『知っているようで知らない国債のしくみ』(池田書店)の一部を再編集したものです。

国債とは国・政府の借用証書

国債は債券の一種です。個人でも購入することができます。

債券とは、国や企業が多数の人々から資金を集めるために発行する、いわば借用証書のようなものです。もともとは紙に印刷された証券であり、1枚ごとに額面金額 ※1が印刷されています。債券が償還 ※2される際には、この額面金額が返済されます。

※1 債券が償還(満期)を迎えたときに受け取れる金額。
※2 満期日に投資したお金が返金されること。

債券の紙自体に財産価値があり、このような紙は「有価証券」と呼ばれます。ちなみに紙でなくても有価証券という用語は使われています。有価証券には株式・債券・手形・小切手などがあります。有価証券はそれ自体に財産的価値を有しており、売買が可能です。

国債には3つの重要な役割があります。それは、「国の債務としての役割」「投資対象としての役割」「長期金利としての役割」です。今回は、これらの役割について解説していきます。