投資先としての役割
次に「投資先としての役割」について解説します。国債がどのように投資対象として機能するのかを理解するために、まず債券自体の仕組みを理解することが重要です。
債券は小口 ※4の額面金額に分けられて発行されることで、不特定多数の人から大きな資金を借入れることが可能となります。債券は市場で取引できるため、投資の対象になります。そのなかでも、国債は最も安全性が高い金融商品とされています。
※4 購入単位を小さくしたもの。
債券は発行時に利率や満期日(償還日 ※5)が決められ、満期日を迎えると額面金額を受け取ることができます。額面金額は、かつて証券の表面(券面)に印刷されていましたが、現在では券面そのものが発行されないペーパーレス化しています。そのため、額面金額は当初に取り決められた償還時の金額ということになります。
※5 保有者に額面金額を払い戻す満期日。
発行者から見て資金をいつまで借り入れるのかを示しているのが償還期限です。購入者の視点では、資金をどの程度運用できるのかという期間を示すことになります。
債券の購入者は資金運用を目的とするため、最も重視している要素が安全性と収益です。
その収益のひとつが債券の利子です。額面金額に対する年あたりの利子の割合を利率と呼びます。そして利子による収入のことをインカムゲイン ※6と呼びます。
※6 株式や債券、預金などを保有することで得られる配当や利子のこと。
さらにインカムゲイン以外の収益が発生する可能性もあります。債券は有価証券という商品であり価格が存在します。債券は市場で売買される有価証券で、株価などと同様に価格が変動するからです。
たとえば、額面金額100万円の債券を99万円で購入すれば、償還時には100万円を受け取るため、1万円の収益が発生します。100万円の額面金額であれば1万円の収益となります。このような収益をキャピタルゲイン ※7と呼びます。しかし、投資家にとっての利益はこれら2つを合わせたもので、それを年間あたりに換算したものが、債券の利回りとなります。
※7 保有している債券を売却することによって得られる売買差益。