なぜ日銀が政策金利引き上げを行うのか
そもそも、なぜ日銀は政策金利の引き上げに踏み切ったのか。もともと日本は不況によって商品やサービスが売れず、持続的に物価が下がる深刻なデフレに陥っていたため、日銀は政策金利を引き下げていた。
政策金利とは、金融機関が日銀から資金を調達する際の金利だ。これが下がれば、金融機関は低い金利で資金を調達できるので、企業や個人への貸出でも金利を下げることができる。そのため企業は運転資金や設備資金を調達しやすくなるし、個人も住宅ローンや自動車ローンなどを組んで高額な商品やサービスを購入しやすくなる。
その結果、経済活動は活発化し、景気が上向くため、物価も上昇し、デフレが解消できるというわけだ。これを「金融緩和政策」という。
日銀はデフレ脱却のため、2%の物価目標を掲げて、長らく金融緩和政策に注力。その期間は30年近くになろうとしていたが、なかなか目標を達成できなかった。
しかし最近になり、円安などの影響から2%を超える物価上昇が発生。さらに企業の賃上げも相次いだ。こうした動きを受けて、日銀は物価目標を達成しつつあると判断し、様子を見ながら少しずつ金融緩和政策から金融引き締め政策に舵を切っている。その一環が今回の政策金利の引き上げだ。
金融引き締め政策では金利が上がることから、企業や個人は資金を調達しづらくなり、経済活動は抑制される。景気の過熱も抑えられるので、昨今猛威を振るう物価高騰にも一定の効果があるとされる。