日銀の目的は「物価の安定」、“知らない”が3割
日銀自体が行っている「生活意識に関するアンケート調査」では、日銀の目的が何であるかを知っているかについて単刀直入に質問している。その目的の代表格である「物価の安定」に関する認知度はどのくらいあるのだろうか。
日銀は「物価の安定」をその目的の一つとしている
最新調査の結果(2025年6月)によれば、日銀が「物価の安定」を目的としていることについて「見聞きしたことはあるが、よく知らない」という回答が46.8%と最も多かった。
一方、「知っている」は26.2%、「見聞きしたことがない」は26.3%。つまり、「知っている」と「知らない」がほぼ同率となっている。
なお、その物価の安定について、具体的な目標として日銀が掲げるのは消費者物価の前年比上昇率2%だ。その認知度についてはさらに低く、「知っている」との回答は21.7%にとどまった。
日銀が、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を掲げている
日銀が物価上昇率2%を目標としていることについて、「見聞きしたことがない」という回答が45.2%と、約半数の人が知らないという結果になっている。「見聞きしたことはあるが、よく知らない」と合わせると8割近い。多くの人が物価高騰を実感しつつも、日銀が行う物価の安定について具体的な内容までは関心が低いようだ。
もう一つの重要な目的である「金融システムの安定」についても同様の傾向が見られ、「知っている」との回答は27.3%。「見聞きしたことはあるが、よく知らない」が39.4%、「見聞きしたことがない」が32.4%という結果だった。
「金融システムの安定」とは簡単にいえばお金の支払いや受け取り、貸し借りの仕組みこと。私たちがお金を利用するには、正常にお金が流通し、金融市場が機能することが前提となっている。日銀はこの金融システムの安定を司る不可欠な存在だ。とはいえ、そのことを普段意識している人はどのくらいいるのだろうか。