「ゆとりがなくなってきた」6割

現在の暮らし向きについて全国2000人に聞いた調査結果が日銀から公表されている。「生活意識に関するアンケート調査」という四半期ごとに行われる調査の中には、「1年前と比較した現在の暮らし向き」についての質問項目が設けられている。

現在の暮らし向き(1年前との対比)

(図表)現在の暮らし向き(1年前との対比)
 
出所:日本銀行「生活意識に関するアンケート調査(第102回<2025年6月調査>)」
 

その最新結果(25年6月調査)によると、「ゆとりがなくなってきた」との回答が61.0%となった。前回の調査時と比較すると、5.1ポイント増加しており、暮らし向きは悪化していると感じる人が増えている。

一方で「ゆとりが出てきた」との回答は3.8%とほぼ変動はない。なお、「どちらとも言えない」が同期間で39.4%から5.1ポイント減り、34.3%となっていることから、前回「どちらとも言えない」と回答していた層が「ゆとりがなくなった」へと移行したのかもしれない。

収入「減った」人が増加、今後の見通しは?

暮らし向きのゆとりは家計の支出、つまり物価の動向にも左右される。そして結局のところ、支出のもとは主に収入である。調査では収入について、1年前と現在との比較、現在と1年後の見通しについてを聞いている。

収入

(図表)収入
 
出所:日本銀行「生活意識に関するアンケート調査(第102回<2025年6月調査>)」
 

1年前と比較して収入が「増えた」との回答は半年前の調査時から2.2ポイント減少した(17.1%→14.9%)。一方で、「減った」との回答は0.5ポイント増加(30.1%→30.6%)、「変わらない」も1.6ポイント増加した(51.8%→53.4%)。

調査期間は2025年5月1日から6月3日であり、例えば会社員の場合、4月に定期昇給やベースアップなどがあったケースも考えられる。ニュースでは春闘の結果から平均賃上げ率が30年以上ぶりに高水準となったと報じられたが、実際には恩恵が受けられなかった人もいるであろうし、一部にとどまったのかもしれない。

なお収入の先行き(1年後)については、「増える」「減る」「変わらない」との回答はいずれも横ばいとなっている。

●前編「景気判断は「主観か客観か?」 2000人が見据える景気、金利、収入支出の“今”と“近い将来”【日銀アンケートをやさしく読み解く】」