会社からベテラン営業職への驚きの要求

4月に再編が決まっていた営業本部の幹部が集められ、人事からリスキニング研修の受講をするように言い渡されました。会社は「50代、60代で新しいキャリアを構築していただくための学び直し」だと言いますが、切った張ったの営業をやってきたわれわれが会社の望む「DXコア人材」になれるとは到底思えません。

実際、研修が始まった後も楽しそうにしているのは社内研修や外部講座に自ら手を挙げて参加していたような一部の資格マニアだけで、他の連中はやる気がないのが見え見えです。

来年度からは給与体系も固定報酬型から成功報酬型に切り替わっていくことが決まっていて、われわれ営業部のベテランは大幅な年収ダウンが避けられません。転職や独立を模索する同僚も少なくなく、研修室は体のいい「追い出し部屋」状態でした。

かく言う私自身も、そろそろ辞め時ではないかと思うようになっていました。しかし、ではその後どうするのかと考えると、自分の業務は意外につぶしが効かないことを痛感せざるを得ませんでした。

転職も独立も難しい…待ち受けていた高い壁

データサイエンティストやITスキルの高い人材が求められる中、前時代的な営業のプロの求人など皆無です。一方で、コンサルタントとして独立してやっていけるほどのスキルや経験があるわけでもありません。しかし、下の息子はまだ高校生で、住宅ローンも残っており、早期リタイアなど夢のまた夢です。

妻が地元の商店街で海外雑貨のショップを兼ねた喫茶店を経営していて、以前は「職がなくなったら店でコーヒーでも淹れるか」と軽口をたたいていたのが、にわかに現実味を帯びてきました。

しかし、妻からは「私を頼らないで、自分で何とかして!」と突き放される始末です。常連のマダムたちに支えられている小さな店ですが、コロナ禍も何とか乗り越えてかれこれ20年近く続いており、妻にとっては大事な居場所。門外漢の私がいきなり土足で踏み込んできて、あれこれ指図されたくないのでしょう。