特別気配中の注文はどのように約定する?

証券取引所における株式注文の約定方式には「ザラバ(※)寄せ方式」と「板寄せ方式」の2つがあります。前者は売りと買いを順次対当させて取引を成立させる方式で、後者は複数の注文をまとめて1つの株価で成立させる方式です。このうち、特別気配中の株式に対する注文は板寄せ方式で成立します。

※ザラバ:取引が始まって最初の取引である「寄付(よりつき)」と取引時間中で最後の取引である「引け」の間の時間帯。

【証券取引所の株式約定方式】

 

出所:日本取引所グループ 売買のルール(応用編)

板寄せ方式では、さまざまな条件で出される注文をどうやって1つの値段で成立させるのでしょうか。そのルールはやや複雑ですが、大まかには売りと買いの注文が交錯する株価、つまり値段が安い順に累計した売り注文と値段が高い順に累計した買い注文の数量が逆転する株価が候補となります。

以下のケースで具体的に確認してみましょう。売りと買いの注文がそれぞれの値段に並んでいますが、100円以下では買いの方が、101円以上では売りの方が多くの注文が出ていることが分かります。この場合、100円か101円のいずれかが約定価格の候補です。

 

その後、仮定した約定価格について、成行の売りと買いが全て約定すること、仮定した約定価格より高い買いと低い売りが全て約定すること、仮定した約定価格における売りと買いのいずれかが全て約定することが確認され、これらを満たす場合に約定価格となります。ちなみに上記のケースでは100円が約定価格となり、約定後の注文情報は以下のように整理されます。

 

板寄せ方式で決められる約定価格は、より高い値段に出される買い注文(または成行の買い注文)が多いほど上昇し、反対により安い値段に出される売り注文(または成行の売り注文)が多いほど下落することになります。特別気配の表示を見たら思い出してみてください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。