親の金融商品、子はどう管理すればいい?
では、子が親の代わりに金融商品を管理する場合、どのような方法があるのでしょうか? 2つの方法を紹介します。
1.代理人制度の活用
判断能力は低下してきているものの、自分の資産管理を子に任せて(委任して)いるという親の意識のもとでは、口座名義人である親に代わって子が取引する「代理人制度」を利用することができます。
代理人が取引をするためには、事前に証券会社に届出が必要です。証券会社で所定の書類を入手して、その書類に本人と代理人が住所・氏名を自署、届出印を押印して証券会社に提出します。証券会社は、本人と代理人の意思と代理内容を確認した後、代理人による取引が可能になります。
代理人制度は、本人が代理人に取引を委任していることの意思を、証券会社が定期的に確認するため、親が判断能力を欠いた状況になってしまうと、それ以後は代理人制度を利用することができなくなることに注意が必要です。
2.家族信託(民事信託)の活用
「将来的に代理人制度が利用できなくなるかもしれない」という懸念に対しては、家族信託(民事信託)の利用を検討するのもよいでしょう。
信託の仕組みは、信託を引き受ける(受託者となる)子に親の金融商品を移転して、子が管理するというものです。代理人制度は親が判断能力を欠いてしまった時点で終了しますが、信託は親が亡くなるまで、受託者である子が親の資産を管理できます。
ただし、現時点では証券会社の中に家族信託に対応している会社・していない会社がありますので、親の口座がある証券会社に確認してみるとよいでしょう。
信託は難しい仕組みでもあるため、親の判断能力がしっかりしているうちから検討しましょう。