準備せぬまま相続発生…何が問題?
親世代の中には、複数の金融機関や証券会社に金融商品を保有している方もいるかもしれません。そうした方が遺言を作成しないままに亡くなってしまうと、相続人同士でどの金融商品を相続するか、遺産分割協議をして相続する金融商品を決めることになります。
遺産分割協議が終われば、金融機関や証券会社などそれぞれの会社で相続手続きをする必要があります。また、金融機関や証券会社ごとに、被相続人(亡くなった親)の口座から相続人口座へ、金融商品の移管手続きも行わなければいけません。
ここで大変なのは、金融機関や証券会社ごとに相続手続きが異なるため、親が複数の口座を持っている場合、相続人である子の手続きの手間が増えてしまうことです。
さらに、親がどの金融機関や証券会社と取引をしていたのか、子が把握できていないケースもあります。中には、「相続後しばらくしてから親の金融商品の取引があったことを知った」という方もいるようです。
筆者の経験から言えば、株式投資を積極的に行うほとんどの方は、複数の証券会社に口座を持っています。ですから、親が高齢になったら親の判断能力がまだ残っていたとしても、どの金融機関や証券会社と取引しているのか把握が必要です。あわせて、保有する金融商品の内容と取引先を整理しておけると安心です。
遺言を作成しただけでは解決できないことも!
親世代の方の中には、相続人の遺産分割が速やかに行えるように遺言を作成した方も多いと思います。しかし、遺言の内容によっては、相続時に改めて相続人間で話し合う必要が生じることや、親が意図した遺産分割とならないこともあるので、注意が必要です。
例えば、親が遺言に「◯◯株式会社の株式の全部を長男に相続させる」と書いていたとします。しかし、遺言作成してから亡くなるまでの間に、◯◯株式会社の株式が売却され、新たな銘柄や投資信託に買い替えられていることもあります。その場合、長男と他の相続人の相続する額が、遺言を作成した時に親が意図したものと異なってしまう事態が生じます。
上記の例の他にも、遺言作成時には想定していなかった手間がかかるケースは多々あります。財産に金融商品が含まれる場合は、「遺言を作成したから大丈夫」と安心せず、定期的に内容を見直して更新していくことが必要です。
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