3.リストアップして全体を把握

ある程度、情報を聞き出すことができたら、預金、上場株式や投資信託などの有価証券、生命保険、自宅以外の不動産と財産の種類ごとに区分した表を作ってみましょう。

その表に、所有していれば○、所有していなければ×と、親と一緒に記入してみると、「預金は●●銀行と□□銀行にある」といったように、親から情報を補足してくれることもあるかもしれません。親が所有する財産について、いきなり具体的に数値(預金額など)を把握するのではなく、ある・なしが分かれば、まずは十分です。

こうして、親がどんな財産を所有しているか把握していく中で、親が不動産を所有していたら要注意です。

自宅を所有している場合

親が自宅を所有しているとき、子は自宅の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する必要があります。登記簿謄本には所有者名が記載されているので、親が単独で所有しているのか、両親で共有しているのかを把握しましょう。

それと同時に、親は生存の限り自宅に住み続けたいと思っているのか、気持ちを確認しておくことも必要です。また、親が亡くなった後は誰が自宅に住むのか、兄弟姉妹それぞれの意見も確認しておきましょう。

親が賃貸事業を行っている場合

親が自宅以外の不動産を所有して賃貸しているとき、親はその不動産を子に継いで賃貸事業を継続して欲しいと思っているのか、確認します。

親は賃貸事業を継いでもらいたいと思っているのに、子にはその気がないといった相談を筆者はよく受けます。食い違いが生まれやすい部分ですから、親が始めた(もしくは、引き継いだ)賃貸事業の行方をどうしたいのか、親の思いを聞き、受け入れることから始めましょう。

4.第三者の力を借りるのも有効

こうして様々な工夫をしてみても、お互いに遠慮があったり、関係が近すぎるために言い合いになってしまったりと、親子での情報共有が上手く進まないこともあります。

そのような場合には、信頼できる第三者の力を使ってみることも有効な手段です。客観的な立場から親子の情報共有の橋渡しをしてくれる、信頼できる人を見つけましょう。例えば、親が長い間にわたって信頼している人がいれば、その人に依頼してみてもいいでしょう。しかし、いくら信頼している人といっても、隣に住んでいる人や親の友人というわけにはいきません。客観的な第三者となり得る候補としては、財産や法律や税などについて専門的な知識を有してその分野で仕事をしている人などが挙げられます。

客観的な第三者を見つけたら、事務所などに親子で訪問し、そこで第三者も交えて話し合いをします。筆者の経験からすると、家から離れることで親も子も客観的になり、情報の共有が進んでいくことがあります。

 

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