大手不動産会社で部長職を務める岡本淳さん(仮名、53歳)は旧家の出身で、先祖代々受け継いだ家に妻の百合子さんと暮らしています。百合子さんもインテリアコーディネーターの仕事をしており、お互いに「仕事が生きがい」と多忙な生活を送っていました。

岡本さん夫婦には子供がおらず、岡本さんが役職定年を迎える2年後からは、共通の趣味である温泉旅行をのんびり楽しもうと考えていました。しかし、そんな矢先に信じられない事実が発覚します。

百合子さんが岡本さんに内緒で、実の弟に金銭援助を続けていたのです。その額、なんと年間で220万円――。岡本さんは激怒し、もともと感じていた義弟の厚かましい“魂胆”だけは絶対に阻止しようとアクションを起こします。

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代々受け継いだ自宅が義弟の手に…?

子供のいない私たち夫婦の場合、私が先に亡くなると自宅不動産は妻が引き継ぐ形になり、妻亡き後は妻の10歳下の弟の手に渡ってしまいます。不惑にもなって妻に生活費をたかっていた義弟を許すことができず、私は早急に何かしらの対策を打つ必要性を感じていました。例えば、遺言で当面は妻に、妻が亡くなった後には私の親族にという2代先までの指定をしたらどうかとも考えましたが、調べてみるとそれはできないようでした。

一方で、私の親族と妻の関係も良好とは言えません。私には弟と妹がおり、弟には息子が1人、妹には娘が2人いますが、気が強い妹は妻に面と向かって「お義姉さんとは家柄が違うから」と言ってのける始末です。仮に私が遺言で弟に自宅を相続させ、「妻が存命中は自宅に住まわせてやってほしい」と望んだとしても、弟や妹なら、妻にプレッシャーをかけて私の遺言を反故にしかねません。相続人全員の同意があれば、遺言は撤回できるのです。