家族信託を作る過程は、親と子が情報を共有する機会
家族信託の多くのケースでは、財産を信託する親が亡くなるまでの間に使い切るだろうと思われる財産より多い額が信託されています。親の福祉を確保するために使われる財産とともに、子たちへと継がれていく財産も含んだものが信託されます。そのため、信託を引き受ける子は、信託財産に対する親の“思い”をよく理解して管理することが求められます。
家族信託を作っていく過程は、親と子が情報を共有する大変貴重な機会となります。親がその親より受け継いできた財産のこと、親がその財産をどのように管理してきたか、財産の現状など親の財産のことを親が子に伝えるよい機会にもなります。
家族信託を作る支援の過程では、信託を引き受ける子ができるだけたくさんの情報を得られるよう、筆者はファシリテーター的な役割を担い、親と子の情報共有の場を盛り上げるように努めています。
共有される情報が多いほど、家族信託が開始された後、子の信託財産の管理が安定すると、筆者は感じています。
ミドル世代は自身の老後準備も必須
いっぽうで、ミドル世代は自身の豊かな老後を送るために財産を形成していく過程にもあります。
この財産形成ができないと例えば、子世代の財産を頼って老後を送らざるをえなくなるなど、ミドル世代の子世代に迷惑をかけることになります。子世代の財産を減らさぬよう、ミドル世代は自身の財産形成にも重要な役割を担うことを課せられています。