気が付けば2022年も残すところ2カ月を切った。今年は年初から株価が調整基調を強め、インフレリスクと地政学リスクの台頭に加え、世界的な利上げ圧力により予想だにしなかったスピードで円安も進んだ。先の見えない相場環境に、多くの投資家がやきもきしたのではないだろうか。
筆者も今年は年間を通して、悲観的なトーンの記事が多くなってしまったと反省している。とはいえ、足元の状況が向こう数カ月~1年程度で好転し、昨年や一昨年のように右肩上がりの相場が再び訪れるというシナリオも描きにくい。であれば、いっそのこと視点を変えて、いま取れる対策に目を向けたほうがよいだろう。
金利が上がると株価が下落するのはなぜ?
そもそも、金利が上昇するとなぜ株価が下落するのか。まずはこのメカニズムをざっくりと解説しよう。
株価の算出根拠となる企業価値は、将来獲得できるであろうキャッシュフローを、金利(これを割引率と呼ぶ)で割ることで求められる。キャッシュフローと発行済み株式数に変化がない場合、金利が上昇すると企業価値は低下し、理論株価も低下する。
近年、人気を博している全米株式、S&P500、全世界株式などの代表的な株式インデックスファンドは、総じてハイテク企業=グロース株(成長株)の寄与度が高い。昨年まで成長期待によって株価が押し上げられてきた米国のハイテク企業には割高感が指摘されていた。それでも低金利環境下ではこの割高感も許容されていたのだが、金利上昇に伴って大きく売られ、インデックスも同様に下落に見舞われたというのが実態だ。