香川文子さん(仮名)は、神奈川県内の自宅マンションに夫と息子2人と暮らす専業主婦。実家の父親は早くに亡くなりましたが、今年85歳になる母親は年相応に体力や記憶力の衰えがあるものの、持病もなく元気です。近県に住む年子の妹と交代で、月に数回は母親の様子を見に都内の高齢者向けマンションに通っています。
文子さんには7つ違いの兄もいますが、兄や義姉は母の介護にはノータッチ。もともと不仲だったこともありますが、1年前のある出来事を機に、母親や文子さん姉妹は兄の家族と距離を置くようになったといいます。それは、兄夫婦が母親から預かっていた預金3000万円を勝手に使い込むという衝撃的な出来事でした。あまりのことに立ち直れない母親と妹をはた目に「このままではいけない」と意を決した文子さんが頼ったのが、インターネット上で見つけた、あるお金の専門家でした。文子さんにその経緯を聞きました。
〈香川文子さんプロフィール〉
神奈川県在住
54歳
専業主婦
会社員の夫と大学生の息子2人と4人暮らし
金融資産300万円(自身の名義)
私は、7歳年上の兄と、年子の妹と3人きょうだいです。父が40年前に50歳で急死した後、都内の実家には母が1人で暮らしていましたが、5年前、80歳を迎えたのを機に自宅不動産を売却し、近所に新しくできた高齢者向けマンションに入居しました。
実家は都内の閑静な住宅地にあり、売却価格は手数料を差し引いても1億円は下らなかったはずです。マンションの入居金8000万円を支払った後も、母の手元には5000万円以上の資産が残っているはずでした。「はずでした」というのは、私がそれを自分の目で確かめたわけではなかったからです。