・被害額1100億円以上で国は本腰も…仮想通貨の不正流出は今後も起きる?
2022年に入り、円安が急激に進んでいます。ニュースなどでは円安の理由に日米金利差の拡大などを挙げることが多く、比較してみると確かに両者には一定の関係がありそうです。
【「ドル円」と「日米10年国債利回り差」の推移(2022年1月3日~9月12日)】
日米で金利差が拡大した背景には、日本銀行が6年前の9月21日に導入した「イールドカーブ・コントロール」の影響があるといわれています。
イールドカーブ・コントロールとはどのような政策なのでしょうか。概要を押さえましょう。
マイナス金利に続く日銀の新しい政策
日本銀行は現在、物価上昇率2%を達成するため金融緩和を行っています。これまでさまざまな政策を導入しましたが、イールドカーブ・コントロールは2016年9月に導入された比較的新しい政策です。
【日銀の主な金融緩和策の導入年月】
・2010年11月:ETFおよびREITの買い入れ
・2013年4月:量的・質的金融緩和(いわゆる“異次元の金融緩和”)
・2016年1月:マイナス金利
・2016年9月:長短金利操作(いわゆる“イールドカーブ・コントロール”)
出所:日本銀行
イールドカーブは「利回り曲線」とも呼ばれ、ある時期における同一発行体の債券利回りを残存年数別に示したものです。通常、債券は残存年数が長いほど利回りが大きくなるため、イールドカーブは基本的に右肩上がりの曲線になります。
日本銀行が導入したイールドカーブ・コントロールは、短期金利(日本銀行当座預金の一部)に-0.1%のマイナス金利を適用しつつ、長期金利(10年国債金利)が0%程度で推移するよう国債の買い入れを行うものでした。短期金利におけるマイナス金利は2016年1月から導入していたため、実質的に長期金利の引き下げを狙ったものだと考えられます。事実、イールドカーブ・コントロールの導入後、日本国債は長期金利を中心に利回りが低下するラットニング(平坦化)が発生しました。
【日本国債におけるイールドカーブの推移】
イールドカーブ・コントロールを導入したことで、日本にはさらなる金利低下圧力がかかりました。日本銀行は金利を低く導くことで国内経済を刺激し、物価目標2%の実現を目指しているのです。