・「自分は被害に遭わない」高齢者ほど自信過剰…詐欺被害増加の要因に
暗号資産(仮想通貨)の代表的な銘柄「ビットコイン」が誕生し、10年以上が経過しました。2021年には7万ドル前後まで大きく値上がりしましたが、現在は2万2000ドル前後となっています(2022年9月12日時点)。価格が下がったことで、改めて投資を検討している人も多いのではないでしょうか。
【ビットコイン(BTC/USD)の価格推移(月足、2017年8月~2022年8月)】
ビットコインのような暗号資産への投資では、値動きに対するリスクもそうですが、セキュリティーにも注意しなければいけません。特に暗号資産の取引所は攻撃の対象になりやすく、たびたび流出事件が発生しました。直近では取引所の1つ「Zaif(ザイフ)」で約70億円の被害が生じています。
どのような手口で巨額の流出事件が発生したのでしょうか。事件の概要を押さえましょう。
取引所「Zaif(ザイフ)」で約70億円分の暗号資産が流出
2018年9月20日、フィンテック企業の「テックビューロ」は、運営していた暗号資産の取引所「Zaif」からおよそ67億円分の暗号資産が不正に流出したと発表します(翌日に約70億円へ修正)。うち約22億円分はテックビューロの資産で、残りのおよそ45億円分はZaifを利用する顧客の資産でした。
テックビューロは顧客資産を「ホットウォレット」で管理していました。ウォレットとは暗号資産を保管する場所のことで、ホットウォレットはオンラインの状態にあるウォレットを指します。犯人は、テックビューロのホットウォレット管理用サーバーへ不正にアクセスし、巨額の流出を発生させました。
この事件を受け、テックビューロは顧客への補償問題に直面します。テックビューロは2018年11月22日に投資支援サービスなどを行う「フィスコ」にZaif事業を譲渡することで50億円を調達し、顧客に補償を行いました。テックビューロは暗号資産の交換業を2020年12月17日に廃業しています。暗号資産の交換業として登録のある業者が廃業するのは初めてのケースでした。