米国でビットコイン現物ETFが登場し、ますますビットコインが活況

ビットコインを中心とする暗号資産の価格が上昇しています。言うまでもなく、ビットコインは暗号資産の代表格。過去、どのような値動きだったのかを、まずは簡単に説明しておきましょう。

10年前からの足跡をたどると、2014年12月の円建てビットコイン価格は、1BTC=3万8000円程度でした。

1回目の上昇の波が訪れたのは2017年12月のことで、ピーク時の価格は1BTC=160万円超をつけましたが、2019年1月には37万円程度まで調整。2021年3月に652万円程度まで上昇した後、同年6月に384万円まで調整。同年10月には700万円を超え、2022年12月に217万円まで調整。そして2025年1月29日現在では、1BTC=1588万円程度で取引されています。

ビットコインの値動きがボラタイルであることは今に始まった話ではありません。このように過去の値動きを見ると、それがよく分かります。何しろ最初の上昇波動でも、2014年12月から2017年12月までの3年間で、42倍にまで値上がりしたと思ったら、ピークから1年と1カ月で、4分の1になってしまいました。その他のピークとボトムの差を見ても、大体において高値から半分、あるいは3分の1程度の調整は当たり前というのが、ビットコインの値動きです。

昨年以降、ビットコインの取引が活発になってきたのは、米国のSEC(証券監視委員会)が、ビットコイン現物ETFを承認したからと考えられます。

ETFはご存じのとおり、証券取引所に上場される上場投資信託のことです。米国では昨年1月、SECがビットコインを組み入れた現物ETFを承認したことから、11のビットコイン現物ETFが誕生しました。発行体もフィデリティやフランクリン・テンプルトン、インベスコ、ブラックロックなど、投資信託の運用でも非常に有名な運用会社も参入しています。

こうしたビットコイン現物ETFは上場後、堅調に成長しています。昨年末、ブルームバーグが報じたところによると、ブラックロック社がローンチした「iシェアーズビットコイン・トラスト」が、上場後わずか11カ月で、その資産規模が500億ドル(約7兆8600億円)を上回ったということでした。

米SECがビットコイン現物ETFを承認したのは、暗号資産マーケットにとって非常に大きな出来事と言えるでしょう。米国を代表する伝統的運用会社が、ビットコイン現物ETFを組成して上場したことで、これまで海のものとも山のものとも分からないことから懐疑的に見ていた投資家も、ある意味、暗号資産を認めざるを得なくなりました。

また、ビットコイン現物ETFは、個人がビットコインに投資する際のハードルを大きく引き下げました。

これまで個人がビットコインを保有する場合、暗号資産取引所に口座を開設し、かつ設定が難しいウォレットを管理するという行為を、自分自身で行う必要がありましたが、ビットコイン現物ETFはあくまでもETFなので、証券取引と同じ手軽さで売買できるようになります。

一方で手数料などのコストはかかりますが、前述したようにそもそも値動きが極めてボラタイルな資産なので、手数料の負担感は軽くなります。