マイナス金利の今、学資保険は“元本割れ”も

妻が理解した様子を見て、話題は保険へと移りました。「今から30年くらい前の貯蓄性保険は『お宝保険』と呼ばれていたんですよ。お母さまが奥さまに掛けた学資保険だと、恐らく、払った保険料の1.3~1.5倍くらいの保険金が戻ってきたはずです」。妻は城田さんの言葉に目を丸くしました。城田さんは大きくうなずいた後、次のように続けました。

「でも、マイナス金利の今、学資保険は払った保険料の分も戻ってはきません。言葉を変えれば“元本割れ”です。こういう時代は、保険で運用しようと考えるのではなく、保険は万一のための保障と割り切った方がいいでしょうね」

妻は城田さんの話を受け止めながらも、いまひとつ納得できない様子でした。「母は私に間違ったことを教えたのでしょうか?」。城田さんは、そんな妻の目を見ながら、諭すように言いました。

「そうではありません。お母さまはそれが正しいと考えていらっしゃるのです。ただ、時代が変わって、お母さまの常識が今の常識ではなくなっていたというだけです」

妻は、その城田さんの言葉で吹っ切れたようでした。帰途、小さいけれど決意が感じられる声で、「ママには私から話をするから」と伝えてきました。そして、母娘の間でどんな話し合いがあったのかは知りませんが、その後、義母がわが家を訪れる回数はめっきり減りました。