家計簿の落とし穴とは? 家計管理の正しい手順

自分の状況を知るために、必要になるのが「家計管理」です。家計管理というと、家計簿を思い浮かべる方が多いと思います。家計簿をつけるのは大切なことですが、実は大きな落とし穴があります。

家計簿をつけている方から、「夫の小遣いが多すぎるのではないか?」といった質問を受けることがあります。毎月家計簿をつけていると、この項目に使いすぎているのではないか、といった点が気になってくるわけですね。

ここで問題なのは、家計簿では短期的なところしか見えないということです。お小遣いにしても、長期でその金額を使い続けたらどうなるかを考えなければ、金額が多いか少ないかはわかりません。実際にキャッシュフロー分析をしてみると、全く問題ないどころか、お小遣いを増やしてもいいケースさえあるのです。実は問題ないかもしれないのに、家計簿だけを見て、夫婦げんかにでもなってしまったらもったいないですよね。

正しい家計管理の手順は、
①まずは全体把握のためキャッシュフロー分析を行う
②そのうえで、細かく家計を精査すべく家計簿を作る
という順番なのです。

住宅購入時などにキャッシュフロー分析をしたことがある方もいると思いますが、人生の転機は意外にたくさんあります。支出が変わったり、趣味が変わったり、子どもの習い事が変わったり……。そのたびにキャッシュフロー分析をして軌道修正するのが理想です。「このままいったらどうなるか」を考慮した上で、家計簿をつけることが大切なのです。

最後に、キャッシュフロー分析をしたときに注目すべきポイントをご紹介します。お子さんがいる世帯の場合、一般的には2回、お金の危機が訪れます。

1回目の危機はお子さんが高校生から大学生くらいの時で、教育費がかさみお金が貯まらない、もしくは減っていくというタイミングです。その後、お子さんが巣立って以降が最後にお金を貯められる期間なので、余裕ができたと思って使ってしまったりすると、最悪の老後を迎えることにもなりかねません。

そして2回目の危機は、老後にお金を取り崩していった時、最後までお金がもたなくなってしまうタイミングです。

この2回の危機に対しては、2つの対策が考えられます。

1つ目は固定費の削減です。支出は大きく固定費と変動費にわけることができますが、変動費は節約してもなかなか続きません。そのため毎月かかる固定費(通信費など)を削減し、それでも足りなければ変動費を見直すのがいいでしょう。

そして2つ目が資産運用です。通貨・時間・資産の3つの分散を心掛けた運用で、お金の寿命を延ばすことを目指します。

このように、キャッシュフロー分析をすることで、長期的な課題を解決できます。短期的なところだけを見て、いきなり資産運用を始めるのではなく、まずは全体を俯瞰してみましょう。人生100年時代だからこそ、家計管理から考えることが大切なのです。