2025年6月に年金制度改正法案が成立しましたが、確定拠出年金では大きな改正を控えており、改めてどのような改正が予定されているのか、ポイントを解説したいと思います。
企業型DCとiDeCoの拠出限度額の拡充
まず、企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出限度額の拡充について解説します。 企業型DCの拠出限度額は、現行の5.5万円から6.2万円に引き上げられる予定です。また、現行では、企業型DCの加入者が事業主の拠出に上乗せして拠出できる加入者掛金(マッチング拠出)とiDeCoには、投資する金額(拠出金)に上限が決められていて、下記のようになっています。
なお、マッチング拠出とiDeCoは併用できないのでご注意ください。
【確定拠出年金の拠出限度額(現行)】
改正法では、企業型DCの加入者が事業主の拠出に上乗せして拠出できる加入者掛金(マッチング拠出)について、事業主掛金の額を超えられないという制限が撤廃され、企業年金等の事業主掛金と合わせて拠出限度額を一杯まで利用できるようになります。
また、国民年金第2号被保険者の場合、iDeCoにおいても拠出限度額が7,000円引き上げられる予定で、さらに従来の月額上限も撤廃されて穴埋め方式となるので、拠出限度額を一杯まで利用できるようになります。今後はリタイア期が近づいてきた方でも、老後生活の準備に十分対応できるようになるのではないでしょうか。
拠出限度額は下図のように増額されることになりました。
なお、実施時期について、企業型DCの拠出限度額の拡充(マッチング拠出における加入者掛金の額の制限撤廃)は2026年4月を予定しており、企業型DCとiDeCoの拠出限度額の引上げは2027年の控除分からの実現を目指して準備を進めるとされています。
【確定拠出年金の拠出年度額のイメージ】
※上記は全てを表示しているわけではありません。