〜評価手法の概要と運用体制の評価〜

前回は「アクティブファンドの商品性の評価」と題し、運用者等の裁量では変更できないファンドの基本設計部分が許容できるかどうかの判定が重要であることをお話ししました。加えて商品性の評価のポイントとして7項目をあげ、それぞれの判定基準の例を示しました。また、いずれかの項目で不適格と考えられるアクティブファンドへの投資は慎重に判断すべきとの筆者の考えもご紹介しました。

優れたアクティブファンド選定に向けての次のステップは運用力の評価です。今回と次回の2回に分けて、シンプルかつ効果的と思われる運用力の定性評価手法をご説明します。なお、本稿では紙面に限りがあるため、詳細にご説明するにも限界があります。読者の皆様からご要望があれば、実在するファンドを例に具体的に定性評価手法をご説明する機会を別途設けたいと考えております。

 

運用力は3つの視点(運用体制・プロセス・情報開示)から評価

現在および未来の運用力の源と考えられる事象の有無を確認

運用力の評価と言っても容易ではありません。私も含め自らの運用力/投資判断力に自信が持てない投資家が、より優れた能力を持つ可能性が高い人物あるいはチームの運用力/投資判断力を評価するわけです。単に「自らの能力よりも優っている」と評価することは、可能かもしれません。しかし、プロの中でも特に優れた運用者やチームを選ぶための定性評価では、そのような見極めでは役に立ちません。アマチュアのスポーツ選手がプロとの実力差を認識することは比較的容易でしょうが、数多くのプロの中で誰がこれから活躍するのかをアマチュアが判定するのは容易ではないでしょう。

投資信託の定性評価を解説する本などでは、「運用者の“能力”を評価します」あるいは「運用者の“信頼度”を評価します」と書かれているものもあります。しかしながら、会ったことも話したこともないプロの運用者たちの“能力”の優劣を一般の投資家が評価するのは現実的ではありません。「それがわかれば苦労しない!」のではないでしょうか。

そこで本稿では、運用力そのものの優劣を判定するのではなく、運用力に資する可能性の高い事項の有無を確認し、確認できた場合には加点する方式での評価方法を提案いたします。

以下がご提案する評価項目です。評価機関が行う定性評価項目は極めて多岐にわたっており、筆者が中心となって定性評価手法を構築した評価機関(注1)では、項目数は200を超えます。しかしここでは読者の皆様ご自身でも実施していただけるように項目数を限定し、どんなタイプのアクティブファンドにも適用できる17項目のみとしています。 また、各項目における評価は、運用力に少なくともプラスに貢献する可能性の高い事象の有無で行うように判定基準を設けているため、判断に迷うケースは少ないと考えます。さらに、全体を加点方式とし、事象が確認できない場合には加点しないようにするため、情報量が非常に限定された公開情報のみでも評価を行うことは可能となっています(注2)

(注1)野村フィデューシャリー・リサーチ・アンド・コンサルティング株式会社(”NFRC”)

(注2)公開情報のみでも評価は可能ではあります。しかしながら、多くのファンドでは、開示情報の中には運用力評価に利用できる情報が乏しいため、加点できる項目数が少なくなり、結果として高い評価ができなくなるケースが多くなると想定されます。