運用体制は運用会社と運用者/チームに分けて評価
運用体制の評価:運用会社
運用会社の経営状態や経営戦略は運用者の意欲に大きな影響
運用会社の評価では、対象ファンドの運用会社の捉え方が重要です。投資信託の中には実質的な運用業務を外部の運用会社に委託しているものや、外部の投資顧問会社から投資助言を受けているものも多く存在しますし、運用の委託先等が海外の投資顧問会社であるケースもあると思います。その場合には、できる限り外部委託先や助言提供元等最終的な投資判断を行うあるいは大きな影響を与える運用者が在籍する会社の状況まで確認し、委託会社と併せて評価することが重要です。採点方法では、名目上の委託会社と運用委託先を別々に採点し、その平均点とするやり方が考えられます。
(1) 経営の安定性
運用者が所属する運用会社の業績が低迷しコストカットが行われ、運用業務に関連する予算や運用者の報酬に影響が出ると、運用者のモチベーションの低下や離職につながる可能性が高まります。また、親会社や外部の大株主が存在する場合には、資産運用ビジネス追及以外の理由で、その運用会社の経営状態や今後の方針が影響を受ける可能性も否定できません。
判定基準
・運用会社の業績が増収増益基調、もしくは運用資産が増加し、資金流入傾向にある
・運用会社には親会社や外部の大株主は存在しない、もしくは運用会社は上場している
国内運用会社は大半が未上場もしくは上場会社の一部門となっています。財務その他の情報が得にくい場合も多いでしょう。しかし多くの運用会社は日本投資顧問業
協会に登録しており、その会社概要や業務内容などは「投資運用会社要覧」の中で開示され毎年更新されています(注4)。
(注4)投資運用会社要覧は日本投資顧問業協会のHP上で閲覧可能です。
(2) 運用力維持向上のための経営戦略/方針
資産運用会社の運用力を向上させるために何をすべきかは必ずしも明らかではありません。しかし、逆に何をすれば運用力の強化への障害となるかは比較的明確であると思われます。そうしたマイナス要素が見当たらないことが重要と考えます。
判定基準
・多様なアクティブファンドを濫造していない
・経営トップが運用経験者である
・役員など経営陣に運用業界経験の長い人材が多い