怪しいくらい高利回りの「オフショア保険」とは?
中でも一番の気がかりは、小学校2年生の息子のことです。ちゃんと育てなきゃっていうプレッシャーを強く感じるのは、夫が子煩悩だったこともありますが、周りに教育熱心な方が多いせいもあると思います。うちも元々そのつもりでしたけど、土地柄なのか「中学受験なんて当たり前」というムードなんです。この間は、小学校4年生から3年間塾に通わせたら300万円くらいかかったという話を聞いて、びっくりしました。
教育費が足りないなんていう事態は、石にかじりついてでも避けないといけない。そう考えると家でボーッとしてはいられない気がしてきました。
ずいぶん久しぶりに働きはじめたのは、ひとつにはそんな思いにせき立てられたからです。ママ友の恵美子さん(仮名)が、コールセンターのパート仕事を紹介してくれました。
FP(ファイナンシャル・プランナー)という専門家のことを教えてくれたのも、その恵美子さんです。「お金のこと全般に詳しいらしいよ。保険代理店とかにいて、無料で相談できることも多いんだって」と。
さっそく足を運んだのが、隣り町の駅前にある保険代理店です。「FP 無料相談」というキーワードで調べたら、簡単に見つかりました。
最初は「当たり!」だと思ったんです。私より少し年上の女性FPがとってもいい感じの方で、こちらの要領を得ない説明を優しく相づちを打ちながら聞いてくれました。話の相手をしてもらっただけでも、肩のあたりが少し軽くなった気がします。
でも具体的なアドバイスを聞くことになっていた2度目の訪問時、少し疑念が生じました。
「大前提は橋本さんのライフプランと長期的なキャッシュフロー(家計の収支)です」という説明は、とても腑に落ちたんです。大事なのは、不安のタネも楽しみにしていることも「ライフイベント」としてあらかじめ予定しておくこと。その上で将来的な収支を踏まえてそのためのお金を準備しておけばいい、と教えてくれました。頭の中で漠然と考えていると不安が際限なく膨れ上がりかねないけれど、かかるお金の手当までをはっきり予定に組み込んでおけば、「不安を限定できる」んですね。これはとても勉強になりました。
そこまではよかったのですが、気になったのはお金を手当するためのツールとして「オフショア生命保険」を勧められたことです。「ポイントは他にはない高利回りです」と言われました。示されたデータを見ると、たしかに利回りが普通の債券などを大きく上回っています。でも、「ほんと言うとコレ、会社には内緒。橋本さんだから特別にお勧めしてるの」というセリフに、ちょっと首を傾げました。2度会っただけで「特別」はないんじゃないのって。