finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
藤原延介のアセマネインサイト

【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑧
~米国投資信託最新事情
米国株式型資金流出が10年続く理由、米投信動向を解説

藤原 延介
藤原 延介
BNPパリバ・アセットマネジメント マーケティング部
2024.06.03
会員限定
【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑧<br />~米国投資信託最新事情<br />米国株式型資金流出が10年続く理由、米投信動向を解説

日本で資産運用立国に向けた取り組みが広がる中、家計金融資産の動向や投資信託の制度・規制等において、米国の投資信託を参考とするケースが多く見られる。米国の投資信託動向を四半期に一度、定点観測していただく。今回は米投資信託協会(ICI)のデータを用いて、米国の投資信託市場における基本的な特徴を解説してもらった。

米ミューチュアル・ファンドの残高推移

米投資信託はミューチュアル・ファンド(Mutual Fund)と呼ばれますが、今年4月下旬に米ICIが発表した3月末時点の米ミューチュアル・ファンドの残高は26.8兆ドルで、1ドル=150円換算で約4000兆円という巨大なマーケットです。ここで理解しておきたいのは、日本の投資信託の残高と比較する際に、対等な比較となっているかどうか、という点です。まず、ミューチュアル・ファンドの残高といった場合、上場投資信託(ETF)は含まないのが一般的です。また、ミューチュアル・ファンドには、個人投資家(Retail)向けのシェアクラスと機関投資(Institutional)向けのシェアクラスがあり、26.8兆ドルのうちのそれぞれの残高は14.5兆ドル、12.3兆ドルとなっています。日銀の資金循環統計などから、日本の公募投資信託の大部分は個人投資家向けの残高と推計されており、米ミューチュアル・ファンド全体と比較するのであれば、主に機関投資家が保有している私募投信も含めて比較する必要があります。日本の私募投信は、アセットクラスのデータや投信コストが公開されていないため比較は難しいですが、もし日米の投信の商品性や投信コスト等を比較するのであれば、こうした違いも考慮する必要があります。

なお、この26.8兆ドルという残高は、四半期ベースでは2021年12月末の26.9兆ドルを下回っており、過去最高の更新を続ける日本の投信とは異なる動きとなっています。また、2021年12月末時点の米MMFの残高が4.6兆ドルであったのに対し、その後の金利上昇などを背景に2024年3月末には6.0兆ドルまで拡大しているため、MMFを除く「長期投資信託」と呼ばれるカテゴリーの残高はさらに伸びていないということになります。

 

株式型を中心に資金流出が継続

世界的な株式相場の好調もあり、ミューチュアル・ファンドの残高自体は足元で再び増加基調にありますが、過去最高残高に届いていない理由として、長期投資信託からの資金流出が挙げられます。長期投資信託の直近での残高内訳をみると、半分超が米国株式型(54%)で、国際株式型(14%)も含めれば、7割程度が株式ファンドとなっています。一方で、最大の残高を占める米国株式型は2014年4~6月(Q2)以降、40四半期(10年)連続の資金流出、その受け皿として存在感を高めていた国際株式型も2022年1~3月(Q1)以降、9四半期連続の資金流出となっています。これだけ長期にわたって資金流出が継続するというのは利益確定といった一時的な相場の要因だけでは片づけられず、構造的な要因が存在していると言えます。その一つが、米投信残高の拡大に貢献してきたベビーブーマー(出生率が上昇した1946年から1964年に生まれた世代)を中心とした世代のリタイアメントに伴う、資金の取り崩しです。実際に、個人投資家向けと機関投資家向けの資金動向を見ても、個人投資家の資金流出がより明確なトレンドとなっているようです。

 

長期投資信託からETF への資金シフト

それでも、米国の資産運用ビジネスが成長していないというわけではありません。冒頭でミューチュアル・ファンドにはETFが含まれないと述べましたが、長期投資信託からの資金流出が継続する一方で、資金流入が続いているのがETFです。ETFは資金流入が続いているだけでなく、今年1~3月期の資金流入額が2000億ドルを超えるなどその流入額も大きく、残高も10兆ドルに迫る勢いで過去最高を更新中です。米資産運用ビジネスを見るうえで、こうした構造的な変化が起こっていることも理解しておく必要があるでしょう。

では、日本の資産運用ビジネスにおいても投資信託からETFの資金シフトが起きるかというと、それほど簡単な話ではありません。ETFの流動性や取引の容易さといった点で日米での違いがあることに加えて、日本の場合、機関投資家だけでなく個人投資家も、わざわざETFを使わなくても、インデックス型の投信に相当な低コストで投資できる環境が整っているためです。こういった状況は今後変わっていく可能性もありますので、米投信市場の定点観測を行いつつ、日本の資産運用ビジネスへの示唆を考えていくことが重要です。

 

米ミューチュアル・ファンドの残高推移

米投資信託はミューチュアル・ファンド(Mutual Fund)と呼ばれますが、今年4月下旬に米ICIが発表した3月末時点の米ミューチュアル・ファンドの残高は26.8兆ドルで、1ドル=150円換算で約4000兆円という巨大なマーケットです。ここで理解しておきたいのは、日本の投資信託の残高と比較する際に、対等な比較となっているかどうか、という点です。まず、ミューチュアル・ファンドの残高といった場合、上場投資信託(ETF)は含まないのが一般的です。また、ミューチュアル・ファンドには、個人投資家(Retail)向けのシェアクラスと機関投資(Institutional)向けのシェアクラスがあり、26.8兆ドルのうちのそれぞれの残高は14.5兆ドル、12.3兆ドルとなっています。日銀の資金循環統計などから、日本の公募投資信託の大部分は個人投資家向けの残高と推計されており、米ミューチュアル・ファンド全体と比較するのであれば、主に機関投資家が保有している私募投信も含めて比較する必要があります。日本の私募投信は、アセットクラスのデータや投信コストが公開されていないため比較は難しいですが、もし日米の投信の商品性や投信コスト等を比較するのであれば、こうした違いも考慮する必要があります。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #米国投信
  • #ミューチュアルファンド
  • #ETF
前の記事
【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑦1-3月の投信資金動向! 新NISAでの買付拡大と毎月決算型の現状
2024.05.01
次の記事
【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑨20兆円に迫るラップ口座で、債券への資金配分が拡大
2024.07.01

この連載の記事一覧

藤原延介のアセマネインサイト

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉚
米国株からグローバル株へ資金シフトと欧州株ファンドへの期待

2026.04.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉙
~米国投資信託最新事情
2025年の米投信市場、ミューチュアルファンド・ETFともに債券型の存在感高まる

2026.03.02

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉘
2025年投信資金フローは、外国株式型が減速する一方でアロケーション運用のニーズ拡大

2026.02.02

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉗
金価格上昇の1年で、金関連ファンドの残高が急拡大

2026.01.05

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉖
~米国投資信託最新事情
ミューチュアルファンド初の30兆ドル突破も、米国株ファンドから過去最大の資金流出

2025.12.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉕
NISA利用状況に変化あり⁉ 4-6月期のつみたて買付額が減少

2025.11.04

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉔
過去最大となった個人マネーで広がる物価高対策

2025.10.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉓
~米国投資信託最新事情
拡大続く米ETF市場、アクティブETFの本数はついにインデックスETF超え!

2025.09.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉒
外国株式ファンドの資金流入減速とトレンド変化の兆し

2025.08.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉑
パフォーマンス好調な欧州株ファンドに約11年ぶり高水準の資金流入

2025.07.01

おすすめの記事

日本初のハンセンテック指数連動ETFが東証上場―注目浴びる“中国テック株”が投資の選択肢に

Finasee編集部

トランプの米国に疲れた皆さん、欧州はいかが?日本で唯一の「英国株インデックスETF」が上場!

finasee Pro 編集部

【新NISA対象】ブラックロックから「iシェアーズ S&P500 トップ20 ETF」「iシェアーズ ゴールド ETF」が上場! 個人投資家にとっての魅力は…

Finasee編集部

日経平均はもう古い?野村アセットが参入!日本の魅力を凝縮した「JPXプライム150」連動ETFが上場 先物取引もスタート

finasee Pro 編集部

解約高止まりのプルデンシャル生命が打ち出した「構造改革」の3つの注目点

川辺 和将

【金融風土記】地元愛「日本一」、愛知の金融動向を深掘りする

佐々木 城夛

ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋で国内株インデックス「225」と「TOPIX」がトップ2

finasee Pro 編集部

常陽銀行の売れ筋で「ノムラ・ジャパン・オープン」がジャンプアップ、インデックスを大幅に上回る圧倒的な運用成績

finasee Pro 編集部

金商法改正案を提出、暗号資産ビジネス拡大に向けて考えたい「セキュリティコスト」の話

川辺 和将

著者情報

藤原 延介
ふじわら のぶゆき
BNPパリバ・アセットマネジメント マーケティング部
2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社し、サステナブル投資や欧州規制動向など資産運用に関連する情報発信を担う。1998年三菱信託銀⾏⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパン。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど約25年に渡りリサーチ、投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
【金融風土記】地元愛「日本一」、愛知の金融動向を深掘りする
解約高止まりのプルデンシャル生命が打ち出した「構造改革」の3つの注目点
ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋で国内株インデックス「225」と「TOPIX」がトップ2
「支店長は投信販売の経験がありませんよね? 契約を取れと簡単に言わないでください!」
【みさき透】ファイナンシャル・ウェルビーイング企業の支援で運用立国の高度化を、今夏の「新金融戦略」に向け議連で検討も
常陽銀行の売れ筋で「ノムラ・ジャパン・オープン」がジャンプアップ、インデックスを大幅に上回る圧倒的な運用成績
投資信託の為替ヘッジを“今”見直す理由
「5営業日以内にうっかり売買しちゃった」場合も慌てないで!
中国銀行で下落率が比較的大きくなった株式ファンドを選好、地元の「せとうち応援株式ファンド」もランクイン
「貯蓄から投資、その先へ」の「先」とは?日証協設置の新組織と直接金融の逆襲
【金融風土記】地元愛「日本一」、愛知の金融動向を深掘りする
中国銀行で下落率が比較的大きくなった株式ファンドを選好、地元の「せとうち応援株式ファンド」もランクイン
SBI証券の売れ筋で「SBI・V・S&P500」「ゴールド」「FANG+」を押しのけて「日本株4.3ブル」が人気
「貯蓄から投資、その先へ」の「先」とは?日証協設置の新組織と直接金融の逆襲
福岡銀行で「日本株」への評価が高まる、「配当フォーカス」「自由演技」に続いて「厳選投資」もランクイン
常陽銀行の売れ筋で「ノムラ・ジャパン・オープン」がジャンプアップ、インデックスを大幅に上回る圧倒的な運用成績
解約高止まりのプルデンシャル生命が打ち出した「構造改革」の3つの注目点
データが映すインデックス時代のアクティブ再考ーー「安さ」だけでは、人は持ち続けない
ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋で国内株インデックス「225」と「TOPIX」がトップ2
「5営業日以内にうっかり売買しちゃった」場合も慌てないで!
騒動中の就活の末――損保ジャパン社長が396人の新入社員に語ったこと
「支店長は投信販売の経験がありませんよね? 契約を取れと簡単に言わないでください!」
こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか
事業会社から最も評価が高い運用会社はどこか?Extel社の調査結果に見る日本市場の「360度評価」
投資信託の為替ヘッジを“今”見直す理由
【みさき透】ファイナンシャル・ウェルビーイング企業の支援で運用立国の高度化を、今夏の「新金融戦略」に向け議連で検討も
野村證券の人気は国内株ファンドにシフトが鮮明、「米国株」アクティブファンドはトップ10から消える
マン・グループの洞察シリーズ⑰
生産性のパラドックス:AIはいつ成果をもたらすのか?
【金融風土記】地元愛「日本一」、愛知の金融動向を深掘りする
総合証券モデルの利点は残し、それ以上の価値を生む「合弁会社設立」から見えてくるグループの覚悟 case of 三井住友フィナンシャルグループ/ SMBC日興証券
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら