finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
藤原延介のアセマネインサイト

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑯外国株式ファンド中心に過去最高の資金流入を記録した2024年投信市場

藤原 延介
藤原 延介
BNPパリバ・アセットマネジメント マーケティング部
2025.02.03
会員限定
【連載】藤原延介のアセマネインサイト<br />⑯外国株式ファンド中心に過去最高の資金流入を記録した2024年投信市場

2024年の株式相場は、極めて堅調な動きとなりました。日経平均株価は1989年に記録した過去最高値を約34年ぶりに更新し、19.2%の上昇となりました。2023年も28.2%のプラスとなっており、2年連続で2ケタの上昇率を記録しています。また米国株式は、米S&P500指数で23.3%、米ナスダック総合指数は28.6%の上昇となりましたが、さらに2024年は円安外貨高も進んだので、国内投資家にとって極めて良好なパフォーマンスを記録しています。こうした環境下で始まった新NISAの効果もあり、2024年の投資信託市場は歴史的な活況を呈した1年となりました。

過去最高の残高・資金流入となった2024年投信市場

まず、2024年末の投信残高ですが、ETFを除く株式投信の残高で146.4兆円と、年初の106.4兆円から大幅に増加し過去最高を更新しています。これは、月次で見ても過去最高で、2024年10月末から3カ月連続で過去最高を更新中となっています。次に純設定額(設定から解約・償還を引いた資金流出入額)ですが、年間で+15.4兆円の資金流入を記録し、2023年の+6.5兆円から大幅に増加しました。また、これまでで最も資金流入額が大きかった2007年の+14.3兆円を上回り、こちらも過去最高を更新しています。つまり、歴史的な資金流入額と円安株高による値上がり効果によって、投信残高が大きく押し上げられた1年だったということです。
 

 

外国株式型のインデックスファンドが席巻

続いて、投資対象別の純設定額を見てみると、外国株式型が圧倒的なトップとなっています。2024年の同カテゴリーへの資金流入額は+12.7兆円で、2023年の+4.0兆円から大幅な増加となっていますが、この8.7兆円(=12.7兆円-4.0兆円)の増加というのは、全体の資金流入額の増加分(8.9兆円)とほぼ同水準となっています。それ以外の資産クラスでは、国内株式型が+1.3兆円(2023年+0.9兆円)、アロケーション型が+1.1兆円(2023年+0.5兆円)と株式相場の上昇を背景に資金流入額は増加していますが、外国株式型ほどの急拡大とはなっていません。これらを勘案すると、新NISAの元年となった2024年の資金流入額の増加は、外国株式型に集中していたと言えるでしょう。

 


とりわけ、全世界株式や米国株式を投資対象とする低コストのインデックスファンドには、極めて高水準の資金流入が見られました。ここで、2024年の外国株式型への資金流入額+12.7兆円のうち、インデックス型にしぼって、その投資対象を見てみたいと思います。次のグラフを見ると、インデックス型の外国株式ファンドへの資金流入額は年間で+8.8兆円と外国株式型全体の3分の2を上回っています。さらに、その投資対象地域を見ると、米国株が+4.5兆円、グローバル株が+4.1兆円となっており、この2つが大部分を占めていることが分かります。

つまり、2024年の資金流入額の増加については、そのかなりの部分は米国株、グローバル株に投資するインデックス型への資金流入で説明ができる状況です。新NISAのつみたて投資枠、成長投資枠の双方の恩恵を受けて、こうした商品に資金が集中したものと考えられます。

 

アクティブファンドへの期待

アクティブファンドに目を向けると、2024年の資金流入の上位2本は米国株とグローバル株のファンドとなり、投資対象としてはインデックス型の上位2本と同じ投資対象となりました。ただし、アクティブファンドは上位2本とも毎月分配型ファンドで、新NISAの対象となっていないファンドでした。この点は、新NISA以前から見られたニーズが根強いものであったと考えられます。

アクティブの外国株式型についても同様に内訳を見てみると、年間で+3.9兆円の資金流入のうち、米国株とグローバル株で+2.9兆円とかなりの部分を占めています。ただし、米国株の次に資金流入が見られたのは+1.1兆円を集めたインド株でした。インデックス型への高水準の資金流入に見られるように、米国やグローバルの幅広い銘柄を投資対象とした外国株式ファンドがポートフォリオのコア部分となる傾向が強まる中で、アクティブファンドに求められるのは、インド株のようなコア部分に足りない成長エンジンや、代表的なインデックスと値動きが異なる(分散効果の見込まれる)投資戦略ということになりそうです。そういった意味では、市場環境が悪化した場合には、ポートフォリオの耐性を高める債券ファンドが注目される場面もあると思われます。

 



以上、過去最高の残高、資金流入額を更新した2024年の投信市場を振り返ってみました。細かく見れば、2024年8月に起こった株式相場の乱高下の影響もあり、年後半にかけて資金流入がやや減速したり、年後半に向けて投資対象もやや保守的な商品が選好されたり、といった変化も見られました。

それでも、1年を通じて月間1兆円規模の資金流入が続いたのは、金融危機前に警戒感が強まった2007年とは異なる特徴だったと言えるでしょう。長期・積立投資の浸透に加えて、インフレ・円安といったマクロ経済環境の変化もあり、2025年も高水準の資金流入が継続することが予想されますが、インデックスファンド、アクティブファンドをうまく活用したポートフォリオの強化が一層重要になりそうです。

2024年の株式相場は、極めて堅調な動きとなりました。日経平均株価は1989年に記録した過去最高値を約34年ぶりに更新し、19.2%の上昇となりました。2023年も28.2%のプラスとなっており、2年連続で2ケタの上昇率を記録しています。また米国株式は、米S&P500指数で23.3%、米ナスダック総合指数は28.6%の上昇となりましたが、さらに2024年は円安外貨高も進んだので、国内投資家にとって極めて良好なパフォーマンスを記録しています。こうした環境下で始まった新NISAの効果もあり、2024年の投資信託市場は歴史的な活況を呈した1年となりました。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #公募投信
  • #NISA
  • #債券
前の記事
【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑮不安定な相場で存在感高まるアセットアロケーション運用
2025.01.07
次の記事
【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑰
~米国投資信託最新事情
2024年の米投信市場を振り返る 米ETFに1兆ドル超の資金流入、残高10兆ドル突破!
2025.03.03

この連載の記事一覧

藤原延介のアセマネインサイト

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉓
~米国投資信託最新事情
拡大続く米ETF市場、アクティブETFの本数はついにインデックスETF超え!

2025.09.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉒
外国株式ファンドの資金流入減速とトレンド変化の兆し

2025.08.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉑
パフォーマンス好調な欧州株ファンドに約11年ぶり高水準の資金流入

2025.07.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑳
~米国投資信託最新事情
2025年1〜3月の米投信動向と米投信業界のさらなる進化

2025.06.02

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑲高齢者向けNISA創設の報道で再注目される毎月分配型ファンド

2025.05.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑱日経平均下落で日本株ファンドに資金流入も、アクティブ型の人気に陰り

2025.04.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑰
~米国投資信託最新事情
2024年の米投信市場を振り返る 米ETFに1兆ドル超の資金流入、残高10兆ドル突破!

2025.03.03

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑯外国株式ファンド中心に過去最高の資金流入を記録した2024年投信市場

2025.02.03

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑮不安定な相場で存在感高まるアセットアロケーション運用

2025.01.07

【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑭
~米国投資信託最新事情
米ETFが10兆ドルに迫る!ミューチュアルファンドもETFも債券シフトの動き

2024.12.02

おすすめの記事

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
③日本の金融リテラシー向上へ、将来の資産運用を支える人材を育てる

finasee Pro 編集部

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
②DX・企業価値・サステナ・オルタナの4分野で日本を動かす

finasee Pro 編集部

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
①国内外の金融50社超が参加!資産運用フォーラムが目指すもの

finasee Pro 編集部

日本初のハンセンテック指数連動ETFが東証上場―注目浴びる“中国テック株”が投資の選択肢に

Finasee編集部

10億円以上の資産家が多いのは山口県、北陸ではNISA活用が進む。県民性から読み解く日本人の投資性向とは?

Finasee編集部

著者情報

藤原 延介
ふじわら のぶゆき
BNPパリバ・アセットマネジメント マーケティング部
2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社し、サステナブル投資や欧州規制動向など資産運用に関連する情報発信を担う。1998年三菱信託銀⾏⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパン。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど約25年に渡りリサーチ、投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
第13回 運用資産に関わる常識を疑え!(その2)
高金利通貨での運用は有利?
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
コア預金モデル高度化に取り組む背景と今後の課題~地銀担当者と開発者によるパネルディスカッション
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
浪川攻の一刀両断
個人投資家がアドバイザーを選ぶ時代に、「J-FLEC」の検索エンジンに学べ
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(1)インデックスファンドはトラッキングエラーに注目
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
eスマート証券の売れ筋から「国内債券」の順位が落ちる、新たに加わったファンドとは?
信頼たる資産運用アドバイザーには理由(わけ)がある “進化”した米国の資産運用ビジネスから日本が学ぶべき点は何か? 【米国RIAの真実】
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
【プロはこう見る!投資信託の動向】
2025年4月の株価急落は変化のトリガー、米国株式への強烈な資金フローの向かう先とは?
金融庁の大規模改編案は、下火気味の”プラチナNISA構想”の二の舞になるのか?【オフ座談会vol.7:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【文月つむぎ】投資初心者を狙う「フィンフルエンサー」の脅威に備えよ 法規制があいまいな「グレーゾーン助言」の実態
「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」
FPパートナーへの業務改善命令は"FDレポートの保険版"?金融庁が処分にこめた3つのメッセージ
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら