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藤原延介のアセマネインサイト

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑱日経平均下落で日本株ファンドに資金流入も、アクティブ型の人気に陰り

藤原 延介
藤原 延介
BNPパリバ・アセットマネジメント マーケティンググループ
2025.04.01
会員限定
【連載】藤原延介のアセマネインサイト<br />⑱日経平均下落で日本株ファンドに資金流入も、アクティブ型の人気に陰り


2025年初からの円高傾向もあり、日本株相場が軟調な展開となっています。日経平均株価で見ると、1月は0.8%の下落、2月は6.1%の下落となっており、3月11日には36,000円を割り込む場面も見られました。一方で、国内の日本株ファンドの資金動向を見ると、昨年12月に‐1841億円の資金流出を記録したのに対して、1月には+549億円の資金流入、2月には+1814億円の資金流入となっています。昨年12月に解約が増加したのは、旧NISAの非課税期間が終了するのに合わせた利益確定売りという要因もあったようですが、今回は日本株ファンドの資金動向について詳しく見ていきたいと思います。

日本株ファンドは6カ月ぶりの資金流入額を記録

まず、2月の+1814億円という資金流入額ですが、これは昨年8月の+2927億円以来の高水準で、日本株ファンドへの資金流入額が1000億円を超えるのも6カ月ぶりとなっています。では、昨年8月に何があったかというと、8月初めに起きた日本株相場の乱高下です。終わってみれば、月間で-1.2%の下落にとどまりましたが、一時は大幅な下落に見舞われ、そこで多くの投資家が押し目買いを入れたというのが資金流入額の膨らんだ背景になります。

以下のグラフで過去5年あまりにおける日経平均と日本株ファンドの純設定額(資金流出入額)の推移を見ると、例えば、日経平均が2万円前後で日本株の人気が高まる前の2020年3月に1000億円を超える資金流入が見られた場面がありましたが、これは新型コロナウイルスへの懸念から金融市場が混乱に陥り、日本株が大きく下げた時期でした。また、日本株ファンドへの資金流入額が2000億円を超えた2022年9月と12月には、日経平均はそれぞれ-7.7%、-6.7%と大きく下落しています。一方で、資金流出が大きくなっている場面を見ると、日経平均が急騰している月と一致しているケースが多く、国内の個人マネーが日本株に対しては逆張りの傾向が強いという特徴が確認できます。



 

インデックス型日本株ファンドは逆張りの動きが鮮明

実際に、こうした逆張りの特徴は、日経平均に連動するインデックス型ファンドに特に強く見られます。理由としては、個人投資家が日経平均の水準をよく知っていることに加え、インデックス型は販売手数料がないファンドが多く、短期的な値幅取りに使われやすいこと、が考えられるでしょう。NISA等によって投資信託の保有の長期化が進んだといっても、一定の短期的な資金がこうしたファンドを活用している状況に変わりはありません。次のグラフは、インデックス型の日本株ファンドに絞った日経平均株価と純設定額の推移ですが、逆張りの特徴がより鮮明に示されています。


 

アクティブ型日本株ファンドの人気に陰り

それでは、アクティブ型の日本株ファンドの資金フローにはどういった特徴があるのでしょうか。ここでは、投信評価会社のモーニングスターの分類を用いて、日本株ファンドのうちインデックス型以外のものをすべてアクティブ型として集計しています。これを見ると、アクティブ型の日本株ファンドにはより長期間にわたって継続した資金トレンドが確認できます。例えば、2020年3月の新型コロナウイルスのショック時を見ると、日本株の急落によって解約の動きは止まっているものの、新規に購入する動きは見られていません。2020年4月以降、日経平均は2万円付近から3万円に向かって大きく上昇していくことになりますが、2021年5月までは一貫して資金流出が続いています。その後、設定と解約が一進一退となった後、2021年10月から2024年9月まで36カ月連続で資金流入を記録しています。これはアクティブ型日本株ファンドの投資家が上昇を追いかける傾向があるためと考えられます。なお、2024年10月以降は4カ月連続の資金流出となっていますが、きっかけとなったのは2024年8月の日本株の乱高下で様子見姿勢が強まったこと、一部の投資家が利益確定の解約を急いだためと言えるでしょう。

このようにアクティブ型における資金流出入に継続する傾向がみられるのは、以下のグラフの期間(5年間程度)に限ったものではありません。アベノミクス前後でも同様で、上昇が始まってから半年ほど経って、継続的な資金流入が見られています。アクティブ型の日本株ファンドは対面で販売されるケースが多く、販売手数料を払うケースも多く、ある程度長期的な成長を見込んで保有されるケースが多いためと考えられます。そういった意味では、アクティブ型日本株ファンドが昨年後半から資金流出に転じたのは、日本株の人気に陰りが見られるということであり、個人投資家の間で、日本株の長期的な成長ストーリーに懸念が生じているのかもしれません。このように日本株ファンドといっても、インデックス型とアクティブ型で資金フローの特徴は大きく異なります。昨年9月以降のアクティブ型日本株ファンドの資金流出がより継続的なものとなるかどうか、注意深く見守る必要がありそうです。

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著者情報

藤原 延介
ふじわら のぶゆき
BNPパリバ・アセットマネジメント マーケティンググループ
2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社し、サステナブル投資や欧州規制動向など資産運用に関連する情報発信を担う。1998年三菱信託銀⾏⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパン。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど約25年に渡りリサーチ、投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
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