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こたえてください支店長~投信窓販における顧客本位を実現するために~

「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」

森脇 ゆき
森脇 ゆき
フィデューシャリー・パートナーズ 代表
2025.08.22
会員限定
「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」

投信販売に徹底した顧客本位の姿勢が求められる中、現場からは戸惑いや不安の声も聞かれます。若手、ベテランを問わず真のフィデューシャリー・デューティーを実現するにはどうすればいいでしょうか。これまで2000人以上のお客さまに「あなたのための」資産アドバイスを行ってきた株式会社フィデューシャリー・パートナーズの森脇ゆきさんが、皆さんのお悩みに答える連載、第22回目です。

Q:職員「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」

A: 支店長「打ち合わせ通りに主に私が話しますから大丈夫ですよ。普段通りにお客さまに接してください」

 

森脇's Answer:

支店長など上席との同行訪問については、特に若手職員から、緊張してお客さまに普段通りに話せなくなってしまうといったお悩みをよく聞きます。一方で、支店長にも悩みがあるようです。緊張する職員を引き連れて訪問し、お客さまにどのようにあいさつしようか、どこまで自分が積極的に話すべきか、と迷いが生じることが少なくないようです。お互いが緊張や遠慮をした状態で訪問することになれば、支店長同行訪問の本来持つべき効果は損なわれてしまいます。実際にこのような質問が支店長にぶつけられることはないでしょうが、多くの職員が感じていることでもありますので、本稿が改善のヒントになれば幸いです。

全てのお客さまは支店長のお客さま

支店長の同行訪問というのは、支店全体の業績を維持・向上させる点において非常に重要な業務の一つです。

そもそも、支店長はその店の経営者であり、自店のお客さまはすべて支店長自身のお客さまです。自分一人では担当できない規模のお客さまを、部下に分担して対応してもらうことで、大きな成果を上げて支店を運営しています。同行訪問というのは、部下が何らかの成果を見込んでピックアップしているお客さまとの面談なので、効率よく重要顧客と接触できる大切な機会です。

一部リスク管理の面もあろうかと思いますが、同行することで部下の営業の様子を観察・評価することよりも、大切なお客さまにアプローチすることこそが目的です。そのことを理解していれば、過度に緊張してしまって普段通りの接客ができないといったことは避けられるのではないでしょうか。

緊張してしまうということは、事前準備が不足しているのかもしれません。普段は、マネジメントと営業に役割が分担されている支店長と部下が共に訪問するのですから、認識の擦り合わせを含めた準備が欠かせません。お客さまの属性や特徴、これまでの折衝履歴、今後の提案の方向性などを踏まえ、支店長が同行すべき理由をしっかり話し合っておけば、お互いの不安が解消され、適度な緊張感で臨むことができるはずです。

支店長をどんどん使うべし

支店長が同行するだけで、ほとんどのお客さまは喜ばれます。外見上喜んでいるように見えなくても、また自金融機関に対してネガティブな発言があったとしても、内心では「支店長が来たのでは不義理はできない」と考える方が多いのです。支店長効果は絶大なものなのです。お客さまとの会話で「〇〇銀行の支店長がうちにあいさつに来た」というのは長年の自慢話としてよく聞く話ですし、また他社と競合している契約の際に「〇〇銀行は支店長が頻繁に来たから、決めた」という話はよくあることです。金利や手数料といった条件ではなく、支店長の訪問が取引を決める例は多いのです。ですから、担当者はここぞというときには、積極的に支店長に同行を依頼してほしいと思います。

支店長に同行してもらう場合には、その目的を明確にしてください。例えば、契約が見込めるがあと一歩訴求できないなどという場合には、支店長にトップセールスをお願いしましょう。それにより、お客さまが先延ばしにしていた事案を決断するタイミングになることが多々あります。

また、自金融機関とは取引が薄いが富裕層と見込まれるお客さまに対し、かねてより取引深耕を試みており、キャンペーンなどをきっかけに多額の預け入れでご来店いただいたという場合には、その経緯を簡潔に支店長に伝えて「お礼の挨拶」をお願いするだけでもよいでしょう。これだけでさらなる預け入れ拡大、一定の流出防止効果があります。

部下との役割分担で繰り広げる営業活動

支店長の同行は効果的な営業活動の一環ですから、支店長はその重要性と自分自身の使いどころについて、部下に浸透させておく必要があります。

とはいえ、実際には部下の要請通りにただ同行すればよいというわけではありません。具体的には、同行する職員の熟練度合いと、自身の営業経験の有無によってやるべきことは変わってくるでしょう。お客さまのグリップが強く、かつ、成績の良い職員に同行する場合には、基本スタンスとしてはその職員が望むように動くことが望ましいでしょう。一方で、経験の浅い職員や成果が上がっていない職員に同行する場合には、当該職員の要請通りに動いていたのでは成果が上がるはずもありません。

支店長が営業に強ければ、自ら顧客の情報を確認して落としどころを想定して面談できる場合もあるでしょう。さらに具体的な提案をするのに不足している情報がわかれば、それを補うために支店長がお客さまとの深耕を図るというのも有効です。面談の後、部下へのフォローも実施すると部下の勘所も強化され、支店長のトップセールスを学ぶ貴重な勉強の場になるでしょう。支店長にあまり営業経験がない場合や、その他の理由から事前準備が難しい場合にはベテラン職員をペアにつけるのも一考です。支店全体で若手の育成ムードを高めていくことにもつながります。

筆者は、長らく支店の営業現場にいましたが、支店長によって支店の業績が大きく変化するのを見てきました。支店長の同行訪問は、支店経営と営業現場との貴重な接触点です。お客さまが十人十色なら、現場担当者の個性や営業スタイルもさまざまですから、支店長にはそれが活きるようなバックアップをしていただくことを期待しています。

Q:職員「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」

A: 支店長「打ち合わせ通りに主に私が話しますから大丈夫ですよ。普段通りにお客さまに接してください」

 

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著者情報

森脇 ゆき
もりわき ゆき
フィデューシャリー・パートナーズ 代表
信用金庫の預金業務担当を経て信託銀行に勤務、個人向け資産アドバイスを担当。担当総顧客数は約2000人、不動産・相続相談を含む総合的な資産アドバイスを経験する。深く学ぶにつれて、働く意義、社会貢献、自分にとっての良い仕事とお客さまの最善の利益を追 求するため、独立を決意。2018年、フィデューシャリー・パートナーズを設立。
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