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こたえてください支店長~投信窓販における顧客本位を実現するために~

「支店長が代わると方針や雰囲気が変化して戸惑います! 」

森脇 ゆき
森脇 ゆき
フィデューシャリー・パートナーズ 代表
2025.03.21
会員限定
「支店長が代わると方針や雰囲気が変化して戸惑います!	」

投信販売に徹底した顧客本位の姿勢が求められる中、現場からは戸惑いや不安の声も聞かれます。若手、ベテランを問わず真のフィデューシャリー・デューティーを実現するにはどうすればいいでしょうか。これまで2000人以上のお客さまに「あなたのための」資産アドバイスを行ってきた株式会社フィデューシャリー・パートナーズの森脇ゆきさんが、皆さんのお悩みに答える連載、第17回目です。

Q:職員「支店長が代わると方針や雰囲気が変化して戸惑います!」

A: 支店長「そうですよね。あなたは具体的に何をどのように戸惑っていますか?」

 

森脇's Answer:

支店長が代わったとき、現場職員はどうすべきか

支店長が代わるとお店が一変することが多々あります。これまであまり重視されていなかった商品が急に推進されるなどの細かな指示から、朝礼、会議、数字管理、掃除、懇親会に至るまで今まで習慣的に行ってきたさまざまなルールが変わることがあります。改革を行おうとする支店長もいれば、波風立てず静かに支店運営に臨む支店長もいます。支店長が代わることに伴って、店全体の雰囲気が明るくなったり暗くなったりするだけでなく、メンバーが同じであるのに支店の成績が大きく変動することもあります。

支店長が何度変わろうとも、私たちは変わらないもののもとで仕事をしています。それは経営理念です。全員が経営理念に沿って仕事をしていますから、それを常に参照しつつ、支店長の起こそうとしている変化がそれに沿うものであれば、積極的に受け入れてみることをおすすめしたいと思います。

支店長が支店の全てを決める

筆者は、信用金庫と信託銀行で実に多くの支店長のもとで仕事をしました。自分自身は支店長の交代に仕事ぶりを左右されることなく、常に経営理念を参照しながらお客さまを見て仕事をし続け、成績は総合的に上位でありました。しかし支店長によって支店全体の成績が大きく変わるのを度々目にし、その様子を興味深く観察してきました。なぜ支店長が変わるとお店の雰囲気と業績がこんなにも変化するのかを考えてきました。

さて問題です。以下の2パターンの支店長のうち、どちらがよりお店の成績が上がると思いますか。

一方は、口うるさく部下を叱責し、成績について細かく毎日のように詰める支店長で、お店には緊張感があります。もう一方は、成績については口うるさく言わず時折褒めてくれる支店長、お店の雰囲気は和やかです。

ほぼ例外なく後者のほうが成績は上がるのです。

前者の支店長のもとでは、部下はうるさく指摘される部分のみを修正することに労力を使い、それ以上怒られないように言われた以上のことをしなくなります。また、一部の職員はゴマをするようになります。要するに、お客さまを見ずに支店長のご機嫌をうかがうムードができてしまうのです。

一方、後者の支店長のもとでは職員の心理的安全性が確保されます。時折褒められると(それが的を射たものであれば)「見られている」と適度な緊張が走ります。そして、さらに頑張ろうと思うものです。創意工夫も生まれやすくなります。

支店の業績が良くないのは職員のレベルが高くないからだという意見を時々お聞きしますが、支店長が変わることで成績が変化する光景を何度も見てきた経験からすれば、それは間違いであることを強調したいと思います。

顧客本位の良き成果を上げるために、支店長はどのように動くべきか

顧客本位の実践のための第一歩は、顧客本位のルールを経営者層から現場に伝え、そのルールを参照させること、ではありません。お客さまを中心に考える現場の創意工夫が発揮される環境を作ることです。主役は経営者ではなく、お客さまです。担当者は準主役です。職員が上司の顔色を見て働くのではなく、ひたすらお客さまを見て働くことで付加価値を生み出すことができ、収益に結びついていくのです。

そのために支店長に求められることは、指示を出すにあたって職員に背景や理由を説明することです。特に、大きな方針転換を伴う指示である場合には、丁寧な説明が一層重要です。支店長もまた自金融機関の経営方針について、本部から下りてきたものを下に伝達するだけだと思うかもしれません。しかし、現場にいる経営者として、現場に即した解釈をしてほしいと思います。それが、お客さまと接する自分たちの仕事にとってどのような意味があるのか、職員一人ひとりが納得できるように、いわば通訳していただきたいと思います。経営理念と照らしつつ、やるべきことを理解し納得して動ける職員は強いです。その働きは創意工夫に満ちたものになります。目的の商品の契約が取れずとも、周辺の契約や情報を持ち帰ったり、また未知のニーズを見つけて新たな提案を考えたりするようになるでしょう。

金融機関は多くの商品を取り扱っており、それだけ果たすべき役割は大きいとも言えるのですが、その役割を十全に果たせている金融機関は決して多くないと筆者は考えています。現場職員がお客さまのために存分に働ける環境が整えられれば、その成果は飛躍的に上がる可能性があります。そのために、支店長の担う役割と責任は重大です。

支店長が明日からできることのうち筆者の個人的なおすすめは、朝一番にロビーに立って入店するお客さまへ支店長自らが挨拶をする、ということです。そのことの意味はあえて書きません。ご自身が「それいいね」と腹落ちした上で自らの行動として実践されることを期待します。このようなことを今まで行っていなかった支店長にとってみれば勇気のいる行動だと思います。気恥ずかしさを感じるかもしれません。しかし、謙虚で前向きな姿勢、何よりもお客さまを見ようと自らの行動を変化させたことに感動し、ついて行こうと思う職員も少なくないはずです。

顧客本位の良き成果を上げるために、支店の変化を起こす支店長の働きに期待します。

Q:職員「支店長が代わると方針や雰囲気が変化して戸惑います!」

A: 支店長「そうですよね。あなたは具体的に何をどのように戸惑っていますか?」

 

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著者情報

森脇 ゆき
もりわき ゆき
フィデューシャリー・パートナーズ 代表
信用金庫の預金業務担当を経て信託銀行に勤務、個人向け資産アドバイスを担当。担当総顧客数は約2000人、不動産・相続相談を含む総合的な資産アドバイスを経験する。深く学ぶにつれて、働く意義、社会貢献、自分にとっての良い仕事とお客さまの最善の利益を追 求するため、独立を決意。2018年、フィデューシャリー・パートナーズを設立。
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