finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

FD原則の新報告フォーマット公表!さりげないけど「本当はコワい」変更点3選

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2025.01.17
会員限定
FD原則の新報告フォーマット公表!さりげないけど「本当はコワい」変更点3選

金融庁は10日、「顧客本位の業務運営に関する原則」(FD原則)を採択している事業者が取組方針などについて報告するフォーマットを刷新し、公開しました。昨年9月の原則改定を受け、販売・組成の両サイドの事業者がプロダクトガバナンスの観点で情報連携などに取り組んでいるかをチェックする記載欄が追加されています。また、報告と実態に大きなズレがある場合、リストからの除名も辞さない姿勢を改めて示しました。

昨年9月のFD原則改定では、商品が生み出されてからその役目を終えるまで、事業者が責任をもって管理する「プロダクトガバナンス」を確保する観点から5つの補充原則を追加。投資信託などの組成サイドに対し、商品企画時点で、購入することが想定される顧客層を特定して販売サイドに伝えたうえで、その後も情報連携を通じ、実際に想定した通りの層に商品が届けられているかをチェックすることを促しています。

また販売サイドについても、補充原則とは別に既存の項目の注釈を追加する形で、組成サイドと連携してプロダクトガバナンスを確保するよう求めています。

 

金融庁は以前から、FD原則を採択している事業者のリストを公開し、定期的に更新しています。リストへの掲載を希望する事業者は指定のフォーマットに従って取組方針や実際の取組内容について報告する必要があります。

 

フォーマットは、原則を構成する各項目について、実施の有無を応えていくスタイル。FD原則自体が改定されて項目数も増えたので、それに合わせてフォーマットを更新すること自体は、当然といえば当然です。

しかし今回公開された新フォーマットや関連文書の中身をみると、FD原則やプロダクトガバナンスの実効性向上に向け、当局として従前よりも強く事業者側に対応を働きかけようとする意識がうかがえます。さりげない変更ながらよく見ると本当はコワい記載を3つ、見てみましょう。

(1)報告と実態のズレがあればリストから「抹消」

今回、金融庁はフォーマット刷新と合わせ、採択事業者リストの掲載要件に以下の通り「留意事項」を付け加えました。

「(略)自らのウェブサイトの掲載内容及び当庁への報告内容については、正確な記載をお願いします。不備が確認された場合には、修正を依頼する可能性があります。
また、原則等に示された内容の実施を宣言しているにもかかわらず取組実態が確認できない状況又は自ら策定した取組方針と取組実態とが著しくかけ離れている状況が認められる場合において、取組実態の改善又は実態に即した取組方針の改訂のいずれかが速やかに行われないときは、当該金融事業者に通知の上、掲載を取り消す可能性があります
」

 

要するに、報告内容と実際の取組内容に大きなズレがある場合には当局として改善を求め、それにも応じない場合にはリストから抹消することもあり得る、と事業側に釘を刺した格好です。

 

(2)販社向けに新設した「注7」に注意

新たな報告フォーマットでは、組成サイド向けの補充原則だけでなく、FD原則改定で販売会社向けに追加されたプロダクトガバナンスに関する項目(原則6の「注7」)についても、独立した記載欄が設けられ、提出の際には実施の有無を書き込む必要があります。

 

これまでも金融庁は、報告に形式的な不備がある場合、そのままではリストへの掲載ができないとして注意喚起してきました。投信などの販売サイドにおいては7月までの報告の時点で、組成サイドとの協力を含めたプロダクトガバナンス体制について情報発信が十分かどうか、改めて確認する必要がありそうです。

(※原則6の「注7」「金融商品の販売に携わる金融事業者は、商品の複雑さやリスク等の金融商品の特性等に応じて、プロダクトガバナンスの実効性を確保するために金融 商品の組成に携わる金融事業者においてどのような取組みが行われているか の把握に努め、必要に応じて、金融商品の組成に携わる金融事業者や商品の選定等に活用すべきである」)

 

(3)パッケージ商品の具体例を強調

FD原則では従前から、複数の金融商品を組み合わせることで同様の投資効果が得られるいわゆる「パッケージ商品」について、顧客に情報提供を促す項目が設けられています(原則5「注2」、原則6「注2」)。

このパッケージ商品をめぐっては、具体的にどのような商品が該当するかについて、当局と事業者の間で認識の齟齬もみられます。新フォーマットでは欄外に「(パッケージ商品の範囲は)各金融事業者において、個別具体的な金融商品等の特性に照らして実質的に判断されるべきですが、複数の金融商品をセット販売する場合に加え、ファンド・ラップ、ファンド・オブ・ファンズ形態の投資信託、仕組債等の仕組商品、外貨建一時払保険等が含まれるものと考えます」との説明を付け加えました。

これまでも当局作成の想定問答集などで同様の記載がありましたが、報告フォーマットの記載欄近くに改めて書き込むことで事業者をけん制する狙いも読み取れます。

新たな報告フォーマットは7月11日の報告期限分から適用されます。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
1

関連キーワード

  • #金融庁

おすすめの記事

「国内株式」の資金流入はパッシブTOPIX型がけん引、「国内債券」の「中長期」アクティブに流入増=26年9月投信(アクティブ・パッシブ)

finasee Pro 編集部

米国経済Deep Insight 第19回
変わるウォーシュFRBの市場対話

窪谷 浩

4カ月連続で2兆円超の資金流入を記録、円高進行によって海外資産の評価減で純資産総額は減額=26年9月投信資金フロー

finasee Pro 編集部

J-FLECの労作「家計見える化報告書」で“先送り”にされた2つの論点

川辺 和将

マネックス証券で「日本株4.3倍ブル」が第2位に浮上、「世界のベスト」もジャンプアップ

finasee Pro 編集部

著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
米国経済Deep Insight 第19回
変わるウォーシュFRBの市場対話

解約高止まりのプルデンシャル生命が打ち出した「構造改革」の3つの注目点
4カ月連続で2兆円超の資金流入を記録、円高進行によって海外資産の評価減で純資産総額は減額=26年9月投信資金フロー
「国内株式」の資金流入はパッシブTOPIX型がけん引、「国内債券」の「中長期」アクティブに流入増=26年9月投信(アクティブ・パッシブ)
広島銀行の売れ筋で「ポラリス」と「世界経済インデックス」が逆転、米国株は「S&P500」より「メジャー・リーダー」
楽天証券の売れ筋が不変、株価大幅下落を受けても株式インデックスファンドが上位から動かず
金融行政方針が示す「次の金融」の輪郭――資産運用立国を、商品からインフラへ 
浜銀TT証券の売れ筋に大きな変化、「WCM」がトップを取り、「AB米国成長株投信」が3カ月ぶりランクイン
DX人材をいかに活用するか?(社内活用、戦略との紐づけ)
「人材がジョブを生む」という逆転の発想
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉛
1-3月に過去最高の資金流入! 背景にある日本株と金(ゴールド)への強気スタンス
J-FLECの労作「家計見える化報告書」で“先送り”にされた2つの論点
Keyaki Capital、投資アドバイザーを対象としたオルタナティブ投資プラットフォームの提供を開始
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」第21回:“106万円の壁”撤廃の影響を受けるセクターとは
みずほ銀行で「キャピタル世界株式」がトップに、想定最終利回り約2.7%の「グローバル債券ファンド」も人気化
4カ月連続で2兆円超の資金流入を記録、円高進行によって海外資産の評価減で純資産総額は減額=26年9月投信資金フロー
「家計の見える化」が拓く新たな地平――74項目のデータを実務の叡智に変えるために
米国経済Deep Insight 第19回
変わるウォーシュFRBの市場対話

楽天証券で「オルカン」盤石の一方で「FANG+」を再評価、「世界のベスト」の順位上昇が示す“インデックス一辺倒”からの揺らぎ
「過去の実績上位」だけに頼らない投資信託の提案アプローチ ~10年間のデータが示すファンド成績の入れ替わりと販売現場で役立つ活用ポイント~
マネックス証券で「日本株4.3倍ブル」が第2位に浮上、「世界のベスト」もジャンプアップ
「支店長!お客さまが迷惑そうなので、電話をしたくありません!」
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」第21回:“106万円の壁”撤廃の影響を受けるセクターとは
“霞が関文学”で読み解く金融界② 仕組債販売ルール指針案と「文脈検査の拡張」
【第3回】オルタナティブ資産ファンドは何を見て選ぶのか
「過去の実績上位」だけに頼らない投資信託の提案アプローチ ~10年間のデータが示すファンド成績の入れ替わりと販売現場で役立つ活用ポイント~
「攻め」と「守り」の均衡点はどこに?--2026事務年度金融行政方針のポイント解説
【有識者対談】“正念場”の保険業界に学ぶ「顧客本位のビジネスモデル」の持続性(前編)
J-FLECの労作「家計見える化報告書」で“先送り”にされた2つの論点
【金融風土記】「豊かさと分散」の経済圏――山形の金融動向とは
みずほ銀行で「キャピタル世界株式」がトップに、想定最終利回り約2.7%の「グローバル債券ファンド」も人気化
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら