finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
金融業界人のための「霞が関の歩き方」

【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ

みさき透
みさき透
2025.11.06
会員限定
【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ

2700万人が口座開設、政局流動化でさらに重み 

高市早苗政権が発足したものの国内の政局は極めて流動化しており、公明党の連立離脱で同党が自民党と合意した政策の実施も不透明となっている。

ただ、金融庁が岸田政権時代から官邸と歩調を合わせて進めてきた運用立国路線は既に国の方針に組み込まれており、同庁では「いまさら撤廃や縮小などは考えられない」(同庁幹部)との見方が強い。

運用立国の柱である新NISAの実績を見ると、2025年6月末時点で口座数は2700万件に迫っている。この数字は同年7月に実施された参院選で自民党が比例区で獲得した1280万票の2倍以上の規模だ。

選挙と資産運用を混同するなといわれそうだが、福田康夫政権時代に証券税制などの取材で関連する議連の会長を務めていた山本有二衆院議員(当時)を訪ねたことがある。その席で何かの拍子で「グロソブ」の話しになり、「この投信のお客さんは何人くらいか」と尋ねられた。

当時のグロソブの残高は6兆円近かったので「顧客情報は分からないが、平均保有額が200万円なら300万人、300万円なら200万人といったところ」と答えると、「そんなにいるのか。我が党の党員よりはるかに多いな」と驚いていた。政治家はこうした見方をするのかと感心した覚えがある。

頭数を票に置き換える政治家の習性が同じだとすれば、2700万口座まで利用者が膨らんだ新NISAを改悪することは難しい。これだけ国民に浸透した制度を縮小したり、同制度を核とする運用立国路線を後退させたりすることは政治的なリスクが大きすぎる。さらに、政局の混乱でよくも悪くも政治が金融庁などの意思決定に介入する余裕を失うことで、霞が関のペースで議論が進む可能性がある。

同制度が今後も伸びていけば、投資環境の改善を促すコーポレートガバナンスの改革や資産運用業の高度化などへ続く運用立国の路線が覆ることはないだろう。
 

投資立国の台頭で相対的な存在感は低下も、
両路線の橋渡し役がアセットオーナー

ただし、運用立国が堅持されるとしても、相対的に存在感が低下する場面はあるかもしれない。今後は同路線よりも「投資立国」が脚光を浴びるとみられるからだ。

資産運用立国と投資立国は、関連しつつも別個の政策だ。政策的な意図があって使い分けられている。

「運用立国」は家計をマネーの出し手とし、国内外に有利な投資機会を求め、国民を豊かすることが目的だ。他方、「投資立国」は国内外の有力な投資家から資金を集め、国内の企業を投資先とし、国の生産性を高めることを狙う。

もちろん、運用立国による資金が投資立国に導かれて国内のスタートアップに向かうことはあるだろう。だが、少なくとも自民党の資産運用立国議連の中心メンバーでは2つの政策を明確に分けて議論している。同議連の事務局長代理を務める神田潤一衆院議員は「家計を豊かにする政策と企業を強くする政策は分けて考えている。企業を強くするためのものが投資立国だ」と説明している。

これまで投資立国が前面に出なかったのは、先行していた運用立国の充実を急いだことと、両者の取り違えによる混乱を避けたるためだろう。だが、運用立国が最終局面を迎えたことで投資立国に重心が移るのは想定通りだ。

では、運用立国の最終局面とは何か。それがアセットオーナーの機能強化だ。そして、アセットオーナーの改革が運用立国と投資立国の橋渡し役となる。

投資立国の柱はPE、加えてインフラFか 
資金の出し手は年金基金に期待

投資立国が国内に資金を呼び込む政策として具体的な投資先はどこか。筆頭は新しい技術やアイデアの事業化を目指すスタートアップ企業だ。地方創生の流れに乗って社会基盤の整備を支援するインフラファンドも注目されそうだ。インフラの建設などは大企業に任せても「日常的なメンテナンスは地元企業の仕事になる」(地方銀行の役員)からだ。

では投資家は誰か。運用立国の効果で拡大した個人投資家も想定されるが、基準価額が1万円で購入したものを1万2000円で売却したり目先の分配金を求めたりする投資行動では心もとない。

海外の投資家の資金は潤沢だが、この国の未来を託すスタートアップ企業やインフラを海外の資金で賄うことを不安に感じる向きは少なくないだろう。

そこで国内の長期投資の担い手として期待されるのが年金基金などのアセットオーナーだ。だから、金融庁がアセットオーナーの機能強化を「インベストメントチェーンの残された最後のピース」と呼んでいるのである。

2700万人が口座開設、政局流動化でさらに重み 

高市早苗政権が発足したものの国内の政局は極めて流動化しており、公明党の連立離脱で同党が自民党と合意した政策の実施も不透明となっている。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #金融庁
  • #ニュース解説
前の記事
【みさき透】金融庁、FDレポートで外株の回転売買に警鐘 「2、3の事例はアウト」か
2025.08.04
次の記事
【みさき透】SBI新生銀行の上場で現実味を増す「帝国の野望」――分配・解約資金をグループに還流、金利でも稼ぐモデルに
2025.12.25

この連載の記事一覧

金融業界人のための「霞が関の歩き方」

【みさき透】高校の試験に「インベストメントチェーン」「顧客本位」の出題が?!こどもNISAで熱を帯びる金融教育と金融機関の関わり方

2026.02.05

【みさき透】SBI新生銀行の上場で現実味を増す「帝国の野望」――分配・解約資金をグループに還流、金利でも稼ぐモデルに

2025.12.25

【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ

2025.11.06

【みさき透】金融庁、FDレポートで外株の回転売買に警鐘 「2、3の事例はアウト」か

2025.08.04

【みさき透】金融庁はなぜ毎月分配型に「免罪符」を与える気になったのか

2025.06.30

【みさき透】視界不良の「プラチナNISA」、意外に響くネットの評判 

2025.05.16

NISAで高齢者に毎月分配型解禁へ 制度の進化か参院選対策か、それとも「自民党・ネオ宏池会」の野望か 
【緊急座談会・みさき透とその仲間たち】

2025.04.17

【みさき透】開戦前夜!?近づく貿易戦争の足音、新NISA2年目はゴールドに注目

2025.02.13

【みさき透】「またトラ」と運用立国と投資信託、資産運用ビジネスは日本を救うか

2024.11.19

【みさき透】役所の資料はこう読め!ファンドラップに「黄色信号」

2024.10.15

おすすめの記事

みずほ銀行の販売額トップ10にみるリスク管理重視の姿勢、バランス型ファンドの販売額が相対的に向上

finasee Pro 編集部

「支店長! お客さまから商品選びを丸投げされてしまいます!」

森脇 ゆき

三菱UFJ銀行で「日経225」の評価が一段高、バランス型の「ウェルス・インサイト・ファンド」もランクアップ

finasee Pro 編集部

「人工知能×資産運用立国」メガバンクが進めるAIトランスフォーメーションの現在地

川辺 和将

三井住友銀行の売れ筋不変に感じられる投資家の警戒感、バランス型「ライフ・ジャーニー」がランクイン

finasee Pro 編集部

著者情報

みさき透
みさき とおる
新聞や雑誌などで株式相場や金融機関、金融庁や財務省などの霞が関の官庁を取材。現在は資産運用ビジネスの調査・取材などを中心に活動。官と民との意思疎通、情報交換を促進する取り組みにも携わる。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「支店長! お客さまから商品選びを丸投げされてしまいます!」
三菱UFJ銀行で「日経225」の評価が一段高、バランス型の「ウェルス・インサイト・ファンド」もランクアップ
国債に減損処理が必要なのか
【動画】連続講義「オルタナティブ投資 発展の歴史」
①はじめに~オルタナティブ投資とは何か?~
「国債でも減損処理しなければならないケースがある」とは?
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第18回:40年ぶりの運賃区分統合実施!JR東日本の運賃改定が各セクターに及ぼす影響は?
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋で「S&P500」がトップを継続、バランス型にも根強い人気
三井住友銀行の売れ筋で光るアクティブファンド、インデックスの不安定さを克服するファンドとは?
福岡銀行で「225」人気が衰えた理由は? 「純金」、「USリート」と「世界半導体投資」が人気化
【連載】こたえてください森脇さん
⑨顧客本位の実践より、自身の営業成績を優先している方が評価されていると感じる
「支店長! お客さまから商品選びを丸投げされてしまいます!」
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第18回:40年ぶりの運賃区分統合実施!JR東日本の運賃改定が各セクターに及ぼす影響は?
三菱UFJ銀行で「日経225」の評価が一段高、バランス型の「ウェルス・インサイト・ファンド」もランクアップ
「オルカン」独走が続くも「国内株式」に継続的な資金流入、パフォーマンスは「国内・小型・成長株」が突出=26年2月投信概況
三井住友銀行の売れ筋不変に感じられる投資家の警戒感、バランス型「ライフ・ジャーニー」がランクイン
「人工知能×資産運用立国」メガバンクが進めるAIトランスフォーメーションの現在地
「日本が暗号資産ETF取引のハブに」――GFTNグループCEO単独インタビュー
野村證券の人気ファンドは高リターンにシフト、「のむラップ・ファンド」がトップ10から消える
みずほ銀行の販売額トップ10にみるリスク管理重視の姿勢、バランス型ファンドの販売額が相対的に向上
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第18回:40年ぶりの運賃区分統合実施!JR東日本の運賃改定が各セクターに及ぼす影響は?
【金融風土記】九州一の大都会はどんな様子なの?‟フルスペック”福岡県の金融動向
「銀証連携」の強化と「支社体制」の導入でコンサルティング営業の高度化を加速 case of 東京きらぼしフィナンシャルグループ
プライベートクレジットと解約設計の整合性を問う
野村證券の人気ファンドは高リターンにシフト、「のむラップ・ファンド」がトップ10から消える
中国銀行の売れ筋に新規取り扱いファンドが続々ランクイン、「WCM世界成長株厳選ファンド」が第2位に
「支店長! お客さまから商品選びを丸投げされてしまいます!」
総合証券モデルの利点は残し、それ以上の価値を生む「合弁会社設立」から見えてくるグループの覚悟 case of 三井住友フィナンシャルグループ/ SMBC日興証券
「支店長! 私たちが投資信託を販売する目的は何ですか?」
福岡銀行で「netWIN」や「米国成長株投信」を再評価、一方で国内高配当株や純金ファンドの人気も継続
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら