finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
金融業界人のための「霞が関の歩き方」

NISAで高齢者に毎月分配型解禁へ 制度の進化か参院選対策か、それとも「自民党・ネオ宏池会」の野望か 
【緊急座談会・みさき透とその仲間たち】

みさき透
みさき透
2025.04.17
会員限定
NISAで高齢者に毎月分配型解禁へ 制度の進化か参院選対策か、それとも「自民党・ネオ宏池会」の野望か <br />【緊急座談会・みさき透とその仲間たち】

みさき透 唐突なかたちで高齢者向けにNISAで毎月分配型投信の解禁が打ち上げられたね。その名も「プラチナNISA」だ。

菊乃井 日証協などは以前から陳情していた。保有している投信から特別分配として投資元本が払い出されても、利用者を高齢者に限定すれば国民の資産形成を支援するという制度の趣旨に反しないと。

久我 NISAが恒久化されたので、制度に高齢者のニーズを取り込むことには意味がある。メディアや業界には「これは方針転換ではない。制度の進化だ」と説明が付く。

みさき 陳情する先がポイントだ。本来ならば制度を所管する金融庁だが、今回のケースは自民党の資産運用立国議員連盟だった。

興梠(こうろぎ) 金融庁は運用効率を低下させたり投資元本の払い出しにつながったりする分配型に批判的だった。彼らに陳情してもらちが明かないとみて自民党に働き掛け、プラチナNISAを取り上げてもらったわけだ。

みさき もっとも、メディアの内部事情で経済部の記者は「自民党は…」という記事を書きにくい。それは政治部の縄張りだ。じゃあ政治部の記者が書けばよさそうだが、彼らはNISAにも資産運用に関心がない。  

菊乃井 それでプロガバもプラチナNISAも「金融庁は…」で始まる記事になり、読者は「金融庁は何がしたいのだ!」となるのか。

久我 そもそも、前政権下でNISAの恒久化や大幅拡充は当時の岸田首相の政治パワーのたまもの。その岸田氏がこの議連の会長を務めている。役人も業界もこのパワーを利用するだろうから当然、記者も取材するよね。

菊乃井 資産運用立国はぜひ進めてほしい話だが、政治がここまでこのテーマに関わるのはなぜだろう。

興梠 自民党に限らず永田町には様々な議連がある。中にはサークルに近い性格のものもあるが、この議連の実態は「岸田派の再結成だ」との見方が強い。安倍派の裏金問題で「派閥はイカン」となったが、衆参両院で300人以上も議員がいる自民党の内部がバラバラでは話がまとまらない。

菊乃井 しかし、単純に派閥を復活させては世論の批判を招く。そこで「資産運用立国」を旗印に政策集団として「ネオ宏池会」の誕生に至ったわけか。

みさき 議連に参加する議員の数は既に60人を超えている。リストは非公開だが、茂木派の会長の茂木敏充氏や政策通で知られる小野寺五典氏も参加している。

興梠 事務局などにも神田潤一氏、村井英樹氏、小森卓郎氏など日銀、財務省、金融庁の出身議員がズラリと並ぶ。金融庁では「与党内で最大級の政治勢力」(現役幹部)との声も聞かれる。「ネオ宏池会、恐るべし」だ。

久我 政治パワーの利用も善しあしだ。プラチナNISAがネットで報道された当日、自民党幹部が夏の参院選前に「補正予算を組まない」と発言している。選挙を目前にして政権浮揚策が全く見当たらない自民党がプラチナNISAを手っ取り早い選挙対策として利用している面は否めない。

菊乃井 このアイデアがどれだけ政権支持率の回復に役立つか分からないが、NISAの制度改正が選挙対策になるのだから資産運用業の存在感が高まったといえるよ。

興梠 今後の手順を確認しよう。議連の提言を受けて金融庁が制度導入に動けば、8月の税制改正要望にこの件が取り上げられる。

久我 まさに参院選の直後!状況によっては衆参ダブル選になっているかも。

みさき その結果によっては政権の枠組みが変わっている。自公の2党体制からプラス国民民主党なのかプラス維新の会なのか。それとも立憲民主党との大連立なのか。

興梠 そこでプラチナNISAは岐路に立つ。そこを乗り切れば年末の税制大綱に盛り込まれ、年明けの通常国会にNISAの法的根拠である税制特別措置法の改正案が提出される。最後に衆参両院で可決されて制度誕生だ。施行日は2027年1月1日だろう。

みさき その時まで石破政権が続いているとはちょっと想像できない。だが、資産運用議連は岸田前首相を中心に有力な政治勢力を保っている可能性がある。政局が混迷するほど政治家は結束する必要があるからね。

菊乃井 とするとプラチナNISAは成立するとの読み筋が浮上するね。日証協の議連への陳情が奏功したとすれば、6月の退任を前にした森田敏夫会長の功績だが、出身母体の野村證券は高齢者への毎月分配型の販売に注力するのかな。

久我 紆余曲折が予想されるが、仮にこの話が実現すれば業界には「君たちが要望したからこの仕組みをつくったのだ」と議連からプレッシャーが掛かるのは間違いない。

みさき 現役世代が資産形成する時期であるように退職世代は資産を活用、費消する時期だ。高齢者が毎月分配型の投信を持つことに合理性はあるが、このために不合理な分配競争が再開されるのは避けたいところだ。

興梠 米国の関税政策も同じだが、事態が政治マターに格上げされると今までと違った力学で物事が決まる。これまで以上に幅広い情報収集が欠かせないね。

みさき透 唐突なかたちで高齢者向けにNISAで毎月分配型投信の解禁が打ち上げられたね。その名も「プラチナNISA」だ。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #金融庁
  • #NISA
  • #金融リテラシー
  • #法律・制度
前の記事
【みさき透】開戦前夜!?近づく貿易戦争の足音、新NISA2年目はゴールドに注目
2025.02.13
次の記事
【みさき透】視界不良の「プラチナNISA」、意外に響くネットの評判 
2025.05.16

この連載の記事一覧

金融業界人のための「霞が関の歩き方」

【みさき透】高校の試験に「インベストメントチェーン」「顧客本位」の出題が?!こどもNISAで熱を帯びる金融教育と金融機関の関わり方

2026.02.05

【みさき透】SBI新生銀行の上場で現実味を増す「帝国の野望」――分配・解約資金をグループに還流、金利でも稼ぐモデルに

2025.12.25

【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ

2025.11.06

【みさき透】金融庁、FDレポートで外株の回転売買に警鐘 「2、3の事例はアウト」か

2025.08.04

【みさき透】金融庁はなぜ毎月分配型に「免罪符」を与える気になったのか

2025.06.30

【みさき透】視界不良の「プラチナNISA」、意外に響くネットの評判 

2025.05.16

NISAで高齢者に毎月分配型解禁へ 制度の進化か参院選対策か、それとも「自民党・ネオ宏池会」の野望か 
【緊急座談会・みさき透とその仲間たち】

2025.04.17

【みさき透】開戦前夜!?近づく貿易戦争の足音、新NISA2年目はゴールドに注目

2025.02.13

【みさき透】「またトラ」と運用立国と投資信託、資産運用ビジネスは日本を救うか

2024.11.19

【みさき透】役所の資料はこう読め!ファンドラップに「黄色信号」

2024.10.15

おすすめの記事

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
③日本の金融リテラシー向上へ、将来の資産運用を支える人材を育てる

finasee Pro 編集部

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
②DX・企業価値・サステナ・オルタナの4分野で日本を動かす

finasee Pro 編集部

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
①国内外の金融50社超が参加!資産運用フォーラムが目指すもの

finasee Pro 編集部

日本初のハンセンテック指数連動ETFが東証上場―注目浴びる“中国テック株”が投資の選択肢に

Finasee編集部

10億円以上の資産家が多いのは山口県、北陸ではNISA活用が進む。県民性から読み解く日本人の投資性向とは?

Finasee編集部

著者情報

みさき透
みさき とおる
新聞や雑誌などで株式相場や金融機関、金融庁や財務省などの霞が関の官庁を取材。現在は資産運用ビジネスの調査・取材などを中心に活動。官と民との意思疎通、情報交換を促進する取り組みにも携わる。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「銀証連携」の強化と「支社体制」の導入でコンサルティング営業の高度化を加速 case of 東京きらぼしフィナンシャルグループ
マン・グループの洞察シリーズ⑯
定量運用の視点から展望する2026年:予測不能な市場で何を想定すべきか
「投資信託で長期投資! エッセイ・コンクール」<実務者部門>優秀賞:家族の笑顔を見るために【2月13日「NISAの日」記念】
総合証券モデルの利点は残し、それ以上の価値を生む「合弁会社設立」から見えてくるグループの覚悟 case of 三井住友フィナンシャルグループ/ SMBC日興証券
【投信市場の20年を振り返る】信念を持ち「顧客本位の業務運営」を続ければ、次の20年も資産運用ビジネスは成長できる
【金融風土記】九州一の大都会はどんな様子なの?‟フルスペック”福岡県の金融動向
「Japan Fintech Week」初日、金融庁幹部が暗号資産ETFの解禁にあっさり言及
NISA「つみたて投資枠」対象年齢0歳まで引き下げ
下げ相場を知らない世代への金融経済教育は必須
「支店長! 私たちが投資信託を販売する目的は何ですか?」
SBI証券の売れ筋で国内株「4.3倍ブル」の人気上昇、「オルカン」は後退し「S&P500」がトップに
【金融風土記】九州一の大都会はどんな様子なの?‟フルスペック”福岡県の金融動向
総合証券モデルの利点は残し、それ以上の価値を生む「合弁会社設立」から見えてくるグループの覚悟 case of 三井住友フィナンシャルグループ/ SMBC日興証券
「銀証連携」の強化と「支社体制」の導入でコンサルティング営業の高度化を加速 case of 東京きらぼしフィナンシャルグループ
「支店長! 私たちが投資信託を販売する目的は何ですか?」
常陽銀行の売れ筋は年替わりでリスクオン、「ゴールド」や「WCM 世界成長株厳選」が大幅にランクアップ
NISA「つみたて投資枠」対象年齢0歳まで引き下げ
下げ相場を知らない世代への金融経済教育は必須
【投信市場の20年を振り返る】信念を持ち「顧客本位の業務運営」を続ければ、次の20年も資産運用ビジネスは成長できる
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋で「S&P500」がトップに返り咲き。米国株式の変調は投信の売れ筋を変えるか?
【プロが解説】8.5兆円の国内アパレル市場は群雄割拠、商品戦略と周辺事業が企業価値を左右する
「AIだけではない」、2026年の市場を左右するメガトレンドとは? 指数プロバイダーに聞く地政学、プライベートクレジットの新局面
ふくおかフィナンシャルグループは「資産形成と決済」で日常と未来に寄り添う次のステージへ
~「投信のパレット」7000億円突破と新サービス「vary」
「支店長! ノルマから解放されたいです!」
【みさき透】高校の試験に「インベストメントチェーン」「顧客本位」の出題が?!こどもNISAで熱を帯びる金融教育と金融機関の関わり方

「投資信託で長期投資! エッセイ・コンクール」<実務者部門>結果発表!【2月13日「NISAの日」記念】
笛吹けど踊らぬ“あの話”がついに動き出す?「高市一強」時代に金融庁が攻勢に出る5領域とは
【金融風土記】九州一の大都会はどんな様子なの?‟フルスペック”福岡県の金融動向
中国銀行の売れ筋に新規取り扱いファンドが続々ランクイン、「WCM世界成長株厳選ファンド」が第2位に
第17回:「高校無償化」で加速する家計教育資金の大移動!影響を受ける意外な業種とは?
SBI証券の売れ筋に変調? 純金価格の急落と米株物色の変化が「NASDAQ100ゴールドプラス」と「FANG+」を押し下げ
福岡銀行で「netWIN」や「米国成長株投信」を再評価、一方で国内高配当株や純金ファンドの人気も継続
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら