■「地域金融力の結集」を強調
全国銀行協会が主催するイベント「MUSUBU! JAPAN DAY -Connecting to Japan’s Markets-」のカクテルレセプションで登壇し、英語でスピーチした片山さつき・金融担当大臣は、大蔵省での経歴や、自民党金融調査会長として岸田政権の「資産運用立国」構想を推進する政策提言を主導してきたことに言及。
その上で、「日本は今、経済変革の新時代へと突入している。我々新内閣は、世界の投資家とともに強靭な経済を築くことに全力を注ぐ。『貯蓄から投資へ』のシフトを推進し、個人が未来に投資できるよう力を与え、国内投資家と海外投資家の双方に新たな機会を作り出していく」と述べました。
「日本市場はこれまで以上にオープンで透明性が高くなっている。強固な企業統治、安定した規制、そして最先端のデジタルイノベーションを通じて、日本はグローバルな投資家にとって最高の投資先として位置づけられつつある。『資産運用立国政策』を踏まえ、この目標を達成するために利用可能なあらゆる政策手段を展開していく」と説明。高市政権として年内に策定する地域金融力強化プランに言及し、「地域金融と新たな政策の力を結集させ、経済の潜在力を解き放つ」と語りました。
また、人的資本、地域経済、企業競争力の強化を実現するためには、「質の高い資本と高度な専門人材が、大企業だけでなく地域企業にも流れることが不可欠だ」と指摘。持続可能な成長に向けた投資を加速させるために官民の緊密な連携が欠かせないとして、「新たな政策戦略を策定するにあたり、ともにこの道を歩むパートナーである金融機関、ビジネスリーダー、投資家の声に真摯に耳を傾けていく。金融担当大臣として、私は世界の資産運用会社、金融機関、投資家、そして企業が、日本で自信をもって円滑にビジネスを行える環境を整備することにコミットする」と述べました。
■岸田氏、資産運用会社とアセットオーナーに「注文」
同じイベントには、岸田文雄元首相も登壇。自らの政権下で始動した資産運用立国政策の実績をアピールした上で、今後の取り組みのポイントとして(1)企業の稼ぐ力の向上(2)M&Aを活用した企業再編の促進(3)地域の持続的成長と地域課題の解決(4)全世代の国民が安定的な資産形成を行うための環境整備の4つを挙げました。
この中で、コーポレートガバナンスコード改定を通じた経営資源配分の説明責任の明確化に触れつつ、「資産運用会社の皆さんには、稼ぐ力のある有望な日本企業を見極め、家計の資産形成を支える良質な運用商品を組成してほしい」と発言しました。
また、「公的アセットオーナーにおいても現在、オルタナティブ投資の拡大に取り組んでいると承知している。これまでは、海外のオルタナ資産を中心に投資を拡大されてきたと思うが、近年、日本企業に投資するPEファンドの投資案件も増えてきており、海外の年金などアセットオーナーの日本への投資意欲も極めて高いと聞いている。ぜひ、公的アセットオーナーの皆さんにおいても、適切なリスク管理のもと、受益者の最善の利益を追求する観点から、日本企業に投資するPEファンドへの出資拡大を検討していただきたい」と述べました。
また、金融庁の伊藤豊長官は「年内を目途に地域金融に関連する政策をパッケージ化した『地域金融力強化プランを策定』し、強力に推進していく。資産運用立国の取り組み、地域金融力強化の取り組みを、高市新政権、片山大臣のもとでこれまで以上に強力に進めていく」と発言しました。
