finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

いわき信組処分の余波……金融庁は刑事告訴を検討も、地域金融機関を救う「資本参加制度の延長論」に落とす影

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2025.11.14
会員限定
いわき信組処分の余波……金融庁は刑事告訴を検討も、地域金融機関を救う「資本参加制度の延長論」に落とす影

不正融資、反社会的勢力への資金提供などが認められたとしていわき信用組合が業務停止命令を受けた問題。当局は行政処分だけでなく、虚偽報告についての刑事告発も検討しています。前代未聞の一連の不祥事は、高市政権が年内策定を目指す「地域金融力強化プラン」の柱の一つになるはずの、公的資金注入制度の延長に関する議論にも影を落としています。

金融庁の調べでは、同信組は遅くとも1992年ごろから、反社から度重なる不当な要求を受けて資金提供を行い、歴代理事長やコンプライアンス担当理事、監査部長らが直接的に主導して、繰り返し不正融資を実施していたといいます。この他に、実績稼ぎを狙って本来不要な金利負担を顧客に課す期またぎ融資、常務会議事録の改ざんなども発覚したとして、金融庁は同信組に対し業務改善命令と、1ヶ月間の一部業務停止命令を発出しました。

1990年代に反社への資金提供が始まり、2000年代に迂回融資、無断借名融資といった不正融資に手を染め、その不正融資の手法が反社への資金提供にも使われていたと金融庁はみています。同庁幹部は「不正行為の数々を長期間にわたり経営陣主導で実行し、かつ隠蔽してきたことは金融機関としてあるまじき事態だ。報告徴求命令に対する虚偽報告に関する告発も検討している」と話しています。

 

資本参加制度の申請期限「26年3月」迫る

一連の事案は、個別金融機関のスキャンダルにとどまらず、地域金融機関の経営を支援する法制度に関する議論にも影を落としています。

金融機関の経営基盤の強化を目的として公的資金を注入する資本参加制度は、来年3月に申請期限を迎えることになっています。期限を延長するには法改正の必要があり、足元、金融審議会の作業部会(地域金融力の強化に関するワーキンググループ)で具体策の議論が進められているところです。

 

ただ、いわき信組は資本参加制度の震災特例によって公的資金の注入を受けた金融機関のひとつ。このことが、制度延長論そのものに暗い影を落としているのです。

 

作業部会の会合である有識者は、「現在、地域金融サービスを担う既存の組織全てが(制度延長という)施策の対象に値するのか、大変気になる」と発言。「いわき信用組合の事例は例外であると思いたいが、ガバナンスはもちろん、経営手腕等にも大いに疑問がある事業者が存在する状況で、企業経営の品質を考慮せず制度の延長策の具体を議論するのは適当かどうかは考えるところがある」と述べました。

資本参加制度については、公的資金の注入前に、有識者で構成される専門審査会(金融機能強化審査会)の意見を聞くことになっていますが、この審査会の機能の強化を求める声も上がりました。

 

一連の不祥事をめぐっては、金融庁の限られたリソースで小規模の地域金融機関に監督・検査の目を光らせることの難しさも浮き彫りになりました。金融庁は一連の問題を受け、今事務年度から「協働組織金融モニタリング室」を設置。同時に新設した地域金融モニタリング参事官の指揮の下で、全国の信金信組などの財務データやリスク状況を調査・分析する体制を整えています。

金融庁幹部は「事案の発生を重く受け止め、組合自身の改善を指導し検証していくだけでなく、(金融庁の)体制強化を通じ、信用組合を含む協働組織金融機関に対する的確なモニタリングに取り組んでいきたい」と力をこめます。金融機関経営を支援する資本参加制度の延長は、政府が年内策定を目指す「地域金融力強化プラン」の根幹的な施策の一つとなるだけに、いわき信組の不祥事によって制度改正の議論に遅れが出ることを避けたいとの考えがうかがえます。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #金融庁

おすすめの記事

大和証券の売れ筋で「ピクテ・ゴールド」はトップ堅持、株式アクティブファンドを人気や運用成績で上回るバランスファンドは?

finasee Pro 編集部

「顔の見える関係」づくりに注力、より良い企業型確定拠出年金制度の実現に大和ハウス工業がコミュニケーションを重視する理由

finasee Pro 編集部

米国RIAが語るプライベート市場の進化と個人投資家への拡大【米国RIAの真実】──Midland Wealth Managementのエミル・スキ氏とジェイク・ステープルトン氏に聞く

木村 大樹、エミル・スキ,ジェイク・ステープルトン

野村證券の売れ筋トップ10入りした「野村日本バリュー厳選投資」は国内株ファンドを左右するバロメーター

finasee Pro 編集部

企業型確定拠出年金の運用商品を見直し、継続投資教育を刷新したヤマト運輸が加入者の反響を得た手応えとは

finasee Pro 編集部

著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「顔の見える関係」づくりに注力、より良い企業型確定拠出年金制度の実現に大和ハウス工業がコミュニケーションを重視する理由
米国RIAが語るプライベート市場の進化と個人投資家への拡大【米国RIAの真実】──Midland Wealth Managementのエミル・スキ氏とジェイク・ステープルトン氏に聞く
大和証券の売れ筋で「ピクテ・ゴールド」はトップ堅持、株式アクティブファンドを人気や運用成績で上回るバランスファンドは?
野村證券の売れ筋トップ10入りした「野村日本バリュー厳選投資」は国内株ファンドを左右するバロメーター
【運用会社ランキングVol.4】野村アセットマネジメントが2年連続トップ、3位に急浮上したのは大和アセットマネジメント/ゆうちょ銀行・郵便局編
富士通/富士通企業年金基金の企業型確定拠出年金の取り組み-加入者の関心を高めるセミナー、動画配信の工夫に迫る
信頼たる資産運用アドバイザーには理由(わけ)がある “進化”した米国の資産運用ビジネスから日本が学ぶべき点は何か? 【米国RIAの真実】
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
【文月つむぎ】運用立国議連の新「緊急提言」を読み解く!NISA、税制の見直しで対応が求められる3つのポイント
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
【運用会社ランキングVol.4】野村アセットマネジメントが2年連続トップ、3位に急浮上したのは大和アセットマネジメント/ゆうちょ銀行・郵便局編
企業型確定拠出年金の運用商品を見直し、継続投資教育を刷新したヤマト運輸が加入者の反響を得た手応えとは
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
富士通/富士通企業年金基金の企業型確定拠出年金の取り組み-加入者の関心を高めるセミナー、動画配信の工夫に迫る
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(4)バランスファンドのモニタリング① ベンチマークの課題とその解決法
「顔の見える関係」づくりに注力、より良い企業型確定拠出年金制度の実現に大和ハウス工業がコミュニケーションを重視する理由
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
米国RIAが語るプライベート市場の進化と個人投資家への拡大【米国RIAの真実】──Midland Wealth Managementのエミル・スキ氏とジェイク・ステープルトン氏に聞く
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
【連載】こたえてください森脇さん
⑫元本保証でない商品の販売を嫌がる職員への働きかけ
長野市vs松本市"不仲説"を乗り越え統合の八十二銀・長野銀が、「もう取引しない」と立腹の取引先と雪解けに至るまで
三井住友銀行の売れ筋でランクアップしたファンドは? ランクインした「ライフ・ジャーニー」は期待以上のリターン
【運用会社ランキングVol.4】野村アセットマネジメントが2年連続トップ、3位に急浮上したのは大和アセットマネジメント/ゆうちょ銀行・郵便局編
いわき信組処分の余波……金融庁は刑事告訴を検討も、地域金融機関を救う「資本参加制度の延長論」に落とす影
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら