finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
金融プロフェッショナル

東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー
「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(後編)

どうする日銀 どうなる日本市場

2023.07.07
会員限定
東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー<br />「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(後編)

黒田東彦前日本銀行総裁が「異次元緩和」と呼ばれる大規模な量的・質的金融緩和を開始したのは2013年4月のこと。その後さまざまな追加緩和が実施されたことや、コロナ禍以降の高インフレを背景に海外中央銀行がこぞって金融引き締めを開始したこともあり、10年後の現在は「異次元」という言葉に抱く印象も変わりつつある。新たにバトンを受け継いだ植田和男新総裁には、国内にも物価上昇の波が押し寄せる中でいつ、どのように金融政策正常化へ舵を切るのか、かつてないほど注目が集まっている。
そこで、日銀ウォッチャーとして知られる東短リサーチの代表取締役社長 チーフエコノミストの加藤出氏に、植田日銀の今後の政策運営について話を聞いた。

金融政策の正常化は市場機能回復への道筋でもある

――株式市場に目を向けると、日銀は大量のETFを購入し続けてきました。金融政策が正常化に向かう中で考えられる出口戦略とは、どのようなものでしょうか。

YCCやマイナス金利政策のほうが優先順位は高いため、植田総裁がETFの出口戦略に着手するのは任期の後半だと思います。

出口の参考例としては1998年の香港のケースが挙げられます。当時はヘッジファンドや投資銀行の大量の空売りに対して、香港金融管理局が短期間だけ株式市場に介入して株価を押し上げたのです。その出口として、管理局は購入した株式を別機構に移管し、それをETFに組成して、時間をかけて個人投資家に割安で売却していきました。これは個人であれば時価評価に煩わされず、長期保有してくれる可能性があったためです。しかも、長く保有するほど追加でETFを「おまけ」としてプレゼントするインセンティブも与えました。

金融政策の正常化は市場機能回復への道筋でもある

――株式市場に目を向けると、日銀は大量のETFを購入し続けてきました。金融政策が正常化に向かう中で考えられる出口戦略とは、どのようなものでしょうか。

YCCやマイナス金利政策のほうが優先順位は高いため、植田総裁がETFの出口戦略に着手するのは任期の後半だと思います。

出口の参考例としては1998年の香港のケースが挙げられます。当時はヘッジファンドや投資銀行の大量の空売りに対して、香港金融管理局が短期間だけ株式市場に介入して株価を押し上げたのです。その出口として、管理局は購入した株式を別機構に移管し、それをETFに組成して、時間をかけて個人投資家に割安で売却していきました。これは個人であれば時価評価に煩わされず、長期保有してくれる可能性があったためです。しかも、長く保有するほど追加でETFを「おまけ」としてプレゼントするインセンティブも与えました。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #マーケット情報
  • #金融政策
  • #債券
前の記事
東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー
「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(前編)
2023.07.05

この連載の記事一覧

金融プロフェッショナル

東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー
「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(後編)

2023.07.07

東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー
「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(前編)

2023.07.05

RBC ブルーベイ・アセット・マネジメント マーク・ダウディング 氏インタビュー
黒田日銀の金融政策は十分成果を上げたが 異次元緩和継続はもはや経済状況に適合せず(後編)

2023.06.30

RBC ブルーベイ・アセット・マネジメント マーク・ダウディング 氏インタビュー
黒田日銀の金融政策は十分成果を上げたが 異次元緩和継続はもはや経済状況に適合せず(前編)

2023.06.28

SMBC日興証券 森田 長太郎 氏インタビュー
政策修正に伴う金利上昇は限定的 債券市場は評価損とインカムが両立する局面へ(後編)

2023.06.26

SMBC日興証券 森田 長太郎 氏インタビュー
政策修正に伴う金利上昇は限定的 債券市場は評価損とインカムが両立する局面へ(前編)

2023.06.22

みずほ銀行 唐鎌 大輔氏インタビュー
世界経済は減速傾向で日本の利上げは遠く 構造変化によって円安圧力が継続か(後編)

2023.06.15

みずほ銀行 唐鎌 大輔氏インタビュー
世界経済は減速傾向で日本の利上げは遠く 構造変化によって円安圧力が継続か(前篇)

2023.06.13

おすすめの記事

三井住友銀行の売れ筋でインデックスファンドの群れから抜け出したファンドとは?

finasee Pro 編集部

佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第16回 米価高騰の実態は? 飲食・製造・不動産…多セクターに広がる負担

佐々木 城夛

みずほ銀行で一段と盛り上がる「米国株ファンド」、安定感抜群の「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション」

finasee Pro 編集部

大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 

finasee Pro 編集部

金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点

川辺 和将

アクセスランキング

24時間
週間
月間
大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
みずほ銀行で一段と盛り上がる「米国株ファンド」、安定感抜群の「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション」
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
信頼たる資産運用アドバイザーには理由(わけ)がある “進化”した米国の資産運用ビジネスから日本が学ぶべき点は何か? 【米国RIAの真実】
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
NISAの再拡充で債券ファンド追加案が浮上 金融庁が税制改正要望を公表
「支店長! 正直なところ顧客本位と顧客満足の違いが分かりません」
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 
資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
信頼たる資産運用アドバイザーには理由(わけ)がある “進化”した米国の資産運用ビジネスから日本が学ぶべき点は何か? 【米国RIAの真実】
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
金融庁の大規模改編案は、下火気味の”プラチナNISA構想”の二の舞になるのか?【オフ座談会vol.7:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
【プロはこう見る!投資信託の動向】
2025年4月の株価急落は変化のトリガー、米国株式への強烈な資金フローの向かう先とは?
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【文月つむぎ】投資初心者を狙う「フィンフルエンサー」の脅威に備えよ 法規制があいまいな「グレーゾーン助言」の実態
「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら