――植田新総裁も難しいタイミングでの船出と言えそうです。これまでのところは緩和の維持を表明していますが、今後の金融政策についてはどんなことが予想できますか。
岸田政権も長年継続してきた異次元金融緩和に対し、長期的な視点で修正や正常化を行っていくことに否定的な考えは持っていないでしょう。とはいえ適切ではないタイミングで何らかのアクションを起こして、市場にショックを与えることも望んではいないはずです。
一方で、物価目標の看板をすぐに下ろすムードでもありませんから、その観点からある程度正常化が説明できる環境が整う必要があります。もっとも、その条件は物価目標が完全に2%を超えることではなく、「2%を見通せるようになったら」というのが今の建付けです。いずれにせよ、ファンダメンタルズを無視して政策を変更する方向にはならないと思います。