finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
金融プロフェッショナル

東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー
「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(前編)

どうする日銀 どうなる日本市場

2023.07.05
会員限定
東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー<br />「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(前編)

黒田東彦前日本銀行総裁が「異次元緩和」と呼ばれる大規模な量的・質的金融緩和を開始したのは2013年4月のこと。その後さまざまな追加緩和が実施されたことや、コロナ禍以降の高インフレを背景に海外中央銀行がこぞって金融引き締めを開始したこともあり、10年後の現在は「異次元」という言葉に抱く印象も変わりつつある。新たにバトンを受け継いだ植田和男新総裁には、国内にも物価上昇の波が押し寄せる中でいつ、どのように金融政策正常化へ舵を切るのか、かつてないほど注目が集まっている。
そこで、日銀ウォッチャーとして知られる東短リサーチの代表取締役社長 チーフエコノミストの加藤出氏に、植田日銀の今後の政策運営について話を聞いた。

――はじめに、黒田前日銀総裁時代の金融政策について総括していただけますか。

黒田前総裁の思い切った金融緩和はアベノミクスの中心的政策であり、当初日本経済の空気を明るくしたという点では功績と言えます。ただ10年タームで見ると、金融政策は決して構造改革の代わりにはならないことが明らかになりました。金融政策には、一時的な景気落込みをある程度和らげる効果が期待できます。しかし、日本経済低迷の原因である少子高齢化、硬直的な労働市場、デジタル化の遅れといった構造問題には対処できません。

国際決済銀行(BIS)のチーフエコノミストだったウィリアム・ホワイト氏は2012年に、「思い切った金融緩和には痛み止めの効果があるが、それに政府や議会が甘えて構造改革を先送りにしてしまうと、結果的には時間の浪費になってしまう」と述べています。この 10 年間で、まさにホワイト氏の言葉が現実のものになりました。

――はじめに、黒田前日銀総裁時代の金融政策について総括していただけますか。

黒田前総裁の思い切った金融緩和はアベノミクスの中心的政策であり、当初日本経済の空気を明るくしたという点では功績と言えます。ただ10年タームで見ると、金融政策は決して構造改革の代わりにはならないことが明らかになりました。金融政策には、一時的な景気落込みをある程度和らげる効果が期待できます。しかし、日本経済低迷の原因である少子高齢化、硬直的な労働市場、デジタル化の遅れといった構造問題には対処できません。

国際決済銀行(BIS)のチーフエコノミストだったウィリアム・ホワイト氏は2012年に、「思い切った金融緩和には痛み止めの効果があるが、それに政府や議会が甘えて構造改革を先送りにしてしまうと、結果的には時間の浪費になってしまう」と述べています。この 10 年間で、まさにホワイト氏の言葉が現実のものになりました。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #金融政策
  • #マーケット情報
  • #債券
前の記事
RBC ブルーベイ・アセット・マネジメント マーク・ダウディング 氏インタビュー
黒田日銀の金融政策は十分成果を上げたが 異次元緩和継続はもはや経済状況に適合せず(後編)
2023.06.30
次の記事
東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー
「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(後編)
2023.07.07

この連載の記事一覧

金融プロフェッショナル

東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー
「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(後編)

2023.07.07

東短リサーチ 加藤 出氏インタビュー
「過剰な介入主義」が招いた市場の歪み 新総裁には金融政策と市場機能の正常化を期待(前編)

2023.07.05

RBC ブルーベイ・アセット・マネジメント マーク・ダウディング 氏インタビュー
黒田日銀の金融政策は十分成果を上げたが 異次元緩和継続はもはや経済状況に適合せず(後編)

2023.06.30

RBC ブルーベイ・アセット・マネジメント マーク・ダウディング 氏インタビュー
黒田日銀の金融政策は十分成果を上げたが 異次元緩和継続はもはや経済状況に適合せず(前編)

2023.06.28

SMBC日興証券 森田 長太郎 氏インタビュー
政策修正に伴う金利上昇は限定的 債券市場は評価損とインカムが両立する局面へ(後編)

2023.06.26

SMBC日興証券 森田 長太郎 氏インタビュー
政策修正に伴う金利上昇は限定的 債券市場は評価損とインカムが両立する局面へ(前編)

2023.06.22

みずほ銀行 唐鎌 大輔氏インタビュー
世界経済は減速傾向で日本の利上げは遠く 構造変化によって円安圧力が継続か(後編)

2023.06.15

みずほ銀行 唐鎌 大輔氏インタビュー
世界経済は減速傾向で日本の利上げは遠く 構造変化によって円安圧力が継続か(前篇)

2023.06.13

おすすめの記事

楽天証券の売れ筋でジャンプアップした「日本株4.3倍ブル」、ランクインした「純金ファンド」は遅いのか?

finasee Pro 編集部

【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ

みさき透

SBI証券で「オルカン」「S&P500」を上回る成績のファンドが浮上、手数料だけでなくパフォーマンスにも関心か?

finasee Pro 編集部

【新連載】プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例
①プロダクトガバナンスが注目される背景と製販情報連携の重要性

宮崎忠夫

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉕
NISA利用状況に変化あり⁉ 4-6月期のつみたて買付額が減少

藤原 延介

アクセスランキング

24時間
週間
月間
【新連載】プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例
①プロダクトガバナンスが注目される背景と製販情報連携の重要性
SBI証券で「オルカン」「S&P500」を上回る成績のファンドが浮上、手数料だけでなくパフォーマンスにも関心か?
楽天証券の売れ筋でジャンプアップした「日本株4.3倍ブル」、ランクインした「純金ファンド」は遅いのか?
【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ
銀行・保険会社による暗号資産解禁案、金融庁がにじませた「躊躇」を指摘する声も。その理由とは…?
投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング 
銀行、証券会社以外の選択肢とは?【IFA編】
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉕
NISA利用状況に変化あり⁉ 4-6月期のつみたて買付額が減少
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(3)アクティブファンドのモニタリング② α(アルファ)値とβ(ベータ)値
片山さつき新大臣は「資産運用立国」基本線を継承へ!一方、岸田元首相が運用業界につきつけた「注文」とは…
【連載】こたえてください森脇さん
⑩役席者には収益目標、現場には残高目標。両方を達成するには?
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(3)アクティブファンドのモニタリング② α(アルファ)値とβ(ベータ)値
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋で「225」が「S&P500」を上回るパフォーマンスで人気化、バランス型も「成長コース」が好成績
銀行・保険会社による暗号資産解禁案、金融庁がにじませた「躊躇」を指摘する声も。その理由とは…?
第15回 運用資産に関わる常識を疑え!(その4)
株式はリスクが大きいので投資初心者には不向き?
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉕
NISA利用状況に変化あり⁉ 4-6月期のつみたて買付額が減少
投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング 
銀行、証券会社以外の選択肢とは?【IFA編】
【連載】こたえてください森脇さん
⑩役席者には収益目標、現場には残高目標。両方を達成するには?
【ネット証券&対面証券72社編】投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング
片山さつき新大臣は「資産運用立国」基本線を継承へ!一方、岸田元首相が運用業界につきつけた「注文」とは…
【連載】こたえてください森脇さん
⑨顧客本位の実践より、自身の営業成績を優先している方が評価されていると感じる
投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング 
銀行、証券会社以外の選択肢とは?【IFA編】
【ネット証券&対面証券72社編】投資信託の「運用損益」プラス顧客率ランキング
【地域金融力の現在地-前編】横浜銀行、ひろぎんの目指す地域金融力の形とは?
片山さつき新大臣は「資産運用立国」基本線を継承へ!一方、岸田元首相が運用業界につきつけた「注文」とは…
【連載】こたえてください森脇さん
⑧ゴールベースアプローチを実践するための具体的な会話例は?
「動画を上げるぞ」「マスコミに流すぞ」に毅然と対応できる?――日証協の新カスハラ対策マニュアルの中身とは
【連載】こたえてください森脇さん
⑩役席者には収益目標、現場には残高目標。両方を達成するには?
【連載】こたえてください森脇さん
⑨顧客本位の実践より、自身の営業成績を優先している方が評価されていると感じる
「支店長! 高齢者にリスク性商品を販売することは顧客本位から外れませんか?」
資産運用ビジネスの本気度が問われる時代へ、変わる監督行政と業界
7月に発足した金融庁「資産運用課」の課題は  永山玲奈課長に聞く
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら