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金融庁が「プログレスレポート2024」の公表を休止した深いワケ 「FDレポート」との違いが出せなくなった?

‟霞が関文学”で読み解く金融界⑥

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2024.04.25
会員限定
金融庁が「プログレスレポート2024」の公表を休止した深いワケ 「FDレポート」との違いが出せなくなった?

官庁で編み出される“霞が関文学”を読み解き、金融業界の現状と今後を考える本連載。今回は、毎事務年度の終盤に発行される通例がありながら、今年は春の時点で既に公表休止が決まっている「資産運用業高度化プログレスレポート」を取り上げます。資産運用立国実現プランに盛り込まれたさまざまな政策が実行段階に移り、資産運用業にかつてないほど注目が集まっているこのタイミングで、なぜ公表が見送られたのでしょうか。存在しない「プログレスレポート2024」を読み解きます。

プログレスレポートは20年の初版以降、アクティブ投信の手数料水準やESG投信の情報開示、仕組債の営業慣行などの課題を取り上げ、毎年業界内で注目を集めてきました。特に仕組債については、兄弟格である「FDレポート」とあわせて組成、販売両面の問題に厳しく切り込み、事業者側で販売停止の動きが相次ぐなどインパクトを広げました。

これまで、プログレスレポートは総合政策局内の資産運用高度化室が中心となって作成してきましたが、昨年の組織改編で、企画市場局内に資産運用改革室が新設されました。総政局の資産運用高度化室は形式的には存続しているものの、専属の人員は配置されていません。空っぽのハコだけが残っている状態となり、「事実上の取り潰し」(関係者)という見方もあります。

業界内では、新しい資産運用改革室がレポート作成の役割を引き継ぐのかが関心を集めていました。が、金融庁幹部によれば、今年はどの部署においてもプログレスレポートを作成、公表する予定がないということです。

今年1月にはNISA制度拡充が実現し、4月には金融経済教育推進機構が正式に発足。夏以降も各種の新プリンシプルの策定などイベントが目白押しで、資産運用業界にかつてないほど注目、関心が集まっています。なぜこのタイミングで、金融庁はあえてレポート休止の判断を下したのでしょうか。

休止の要因として役所内の人材難を指摘する声もあります。が、ここでは人的リソースの問題だけでなく、プロダクトガバナンスやプリンシプルに関する庁内の論調変化を含め、いくつかの角度から「資産運用業高度化プログレスレポート2024」の不在について考えてみます。

プログレスレポートは20年の初版以降、アクティブ投信の手数料水準やESG投信の情報開示、仕組債の営業慣行などの課題を取り上げ、毎年業界内で注目を集めてきました。特に仕組債については、兄弟格である「FDレポート」とあわせて組成、販売両面の問題に厳しく切り込み、事業者側で販売停止の動きが相次ぐなどインパクトを広げました。

これまで、プログレスレポートは総合政策局内の資産運用高度化室が中心となって作成してきましたが、昨年の組織改編で、企画市場局内に資産運用改革室が新設されました。総政局の資産運用高度化室は形式的には存続しているものの、専属の人員は配置されていません。空っぽのハコだけが残っている状態となり、「事実上の取り潰し」(関係者)という見方もあります。

業界内では、新しい資産運用改革室がレポート作成の役割を引き継ぐのかが関心を集めていました。が、金融庁幹部によれば、今年はどの部署においてもプログレスレポートを作成、公表する予定がないということです。

今年1月にはNISA制度拡充が実現し、4月には金融経済教育推進機構が正式に発足。夏以降も各種の新プリンシプルの策定などイベントが目白押しで、資産運用業界にかつてないほど注目、関心が集まっています。なぜこのタイミングで、金融庁はあえてレポート休止の判断を下したのでしょうか。

休止の要因として役所内の人材難を指摘する声もあります。が、ここでは人的リソースの問題だけでなく、プロダクトガバナンスやプリンシプルに関する庁内の論調変化を含め、いくつかの角度から「資産運用業高度化プログレスレポート2024」の不在について考えてみます。

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著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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