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岸田路線から高市路線への結節点に「地域金融力」――FAカンファレンスで金融庁市場課長が示唆

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2025.12.03
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岸田路線から高市路線への結節点に「地域金融力」――FAカンファレンスで金融庁市場課長が示唆

日本金融商品仲介業協会(FA協会)は11月27日、「第6回FAカンファレンス―IFAの未来を切り拓くベストプラクティス―成長と信頼の両立」を開催しました。協会理事長の中桐啓貴氏は預かり資産に占める事業者側の収入の割合が低下傾向にある現状について説明。また、金融庁の企画市場局の齊藤将彦・市場課長が登壇し、政府が進める資産運用立国に関する取り組みに言及しました。「地域金融力」を結節点として、岸田路線から高市路線への転換を図ろうとする金融庁のスタンスを窺わせました。

IFAの資産収益率が0.7%切り「スイートスポット」に

FA協会は、IFA法人が提供するサービスの品質向上の支援や認知度向上を目的として2020年に設立。正会員39社、委託正会員(証券会社)3社、運用会社を含む計76社が参加しています。

中桐氏はカンファレンスで、協会が正会員を対象に実施したアンケートの調査結果(24年4月~25年3月を対象期間として今年7~9月に実施)を紹介。正会員39社の預かり残高は3兆6000億円超に上り、設立時(約1兆3000億円)から5年で2兆円以上の伸びを示している現状を説明しました。

講演する中桐啓貴理事長

協会がベンチマークと位置づけている資産収益率(預かり資産に占める収入の割合)は、平均0.67%に。中桐氏は「発足当時は2%弱を目指していましたが、今年は昨年度平均(0.82%)から更に低下しており、お客様のことを考えながら収益をいただくスイートスポットの範囲内に多くの正会員が収まっている状況が窺えます」と語りました。

 

中桐氏は「『貯蓄から資産形成』の大きなうねりの中で、国民一人ひとりが真に納得して資産形成・資産活用を進めるには、販売者の論理ではなく、顧客の利益を最優先するプロフェッショナルの存在が欠かせません。金融商品仲介業者がその役割の主役であるという強い自覚と誇りを持って、この使命を我々として引き続き果たし続けたいと思っています」と語り、顧客本位の業界発展に向けた事業者間の連携を呼びかけました。

 

「インフレ時代」の立国政策の行方

続いて登壇した金融庁企画市場局の齊藤将彦市場課長は「資産運用立国の更なる推進に向けた諸政策について」をテーマに講演。「成長と分配の好循環」を目指す資産運用立国のコンセプトを改めて説明した上で、「これまではデフレ経済、あるいはデフレ基調にある状況の中で、低インフレであれば預貯金で持っていることが合理的でしたが、今はインフレの時代であり、資産が目減りすることを踏まえてしっかりPRし、貯蓄から資産形成・投資への流れを後押ししていきたいと思っています」と語りました。

 

今後の取り組みの方向性に関しては、「家計の安定的な資産形成については、全世代の国民の方が金融リテラシーを向上させながら、一人ひとりのライフプランに沿った形で資産形成を行えるようにすることが重要と考えています。NISAについても、税制改正要望をしているところであり、更に資産形成しやすくするということを行っているところです」と説明。「海外投資にばかり買付が集中しているのではないかとよく批判されます。投資信託でグローバルに分散投資するものにお金がかなり入っていることは確かですが、全体の傾向として見ると、全体のうち株式投資が約40%を占め、それと別に投信の中でも国内投資がありますので、半分近くは国内にお金がいっているという状況です」と説明しました。

 

コーポレートガバナンス改革については「特に今後力を入れていく必要のある課題」と強調。「家計の資金を使っての投資が海外にばかり行くわけではなく、しっかりと国内の企業に投資されて、そこの国内の企業における成長がきちっと果たされるということが日本経済にとっても重要です」と述べました。

 

その上で、今年10月の高市早苗首相の所信表明演説に触れ、「資産運用立国に向けた貯蓄から投資への取り組みの成果に基づき、金融を通じ、日本経済と地方経済の潜在力を解き放つための戦略を策定するということで、資産運用立国のこの取り組みを継続し、それを発展させていくという方向性が示されました」と説明。11月21日に政府が閣議決定した総合経済対策で、資産運用立国のさらなる推進と政党投資拡大に向けた環境整備の一環として、来年の夏までに、「地域金融力強化プラン」(今年中の策定予定)を包含した新戦略を策定する方向を打ち出したことに言及し、「今後検討を進めていくところです」と述べました。岸田政権下でスタートした資産運用立国の基本線を引き継ぎつつ、高市政権の独自戦略の中で政策を再定義する考えを示した形です。

 

12月施行の改正府令に言及

齊藤氏は毎月分配型投信と仕組債の販売動向に触れた後、金融サービス提供法で規定された「最善利益勘案義務」の創設に言及。「金融事業者が、必ずしも短期的・形式的な意味での利益に限らない顧客の最善の利益を考え、これを実現するために、自らの規模・特性などに鑑み、組織運営や商品サービス提供も含め、それに対して誠実かつ公正に業務を遂行しているかといった視点からモニタリングをしていきたいと思っています」と述べました。

 

また、12月1日に施行された改正内閣府令で利益相反の可能性に関する情報開示がルール化されたことに触れ、「販売会社が組成会社から受け取る手数料、組成会社や販売員との関係、また他の商品と比較して当該商品を販売した場合の営業職員の業績評価上の取り扱いなどについてしっかり情報提供していただくということで、金融商品仲介業者の方々も、こうした対応をしていただく必要があるということになっています」と念を押しました。

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著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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